学ぶほど、知識が増えるほど動けなくなる——。SNS総フォロワー20万人を超える読書インフルエンサー・土肥優扶馬氏が「賢者病」と名づけたこの現象には、「理想肥大」「情報飽和」「自己効力低下」という3つの見えないブレーキが働いている。
今回は、そのひとつである「自己効力低下ブレーキ」に焦点を当てる。準備は整っている。やることも決まっている。それなのに、応募ボタンを押す直前で手が止まる。「自分には無理かもしれない」という声が、最後の一歩を阻む。この感覚はどこから来るのか。心理学が解き明かす、行動を阻むメカニズムと処方箋を、『賢者病 考えすぎて動けないがなくなる本』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
「自分には無理かも」という感覚が、行動の前に立ちはだかる
転職サイトに登録し、履歴書も準備した。
気になる求人も見つけた。
「今度こそは」と決意して応募ボタンをクリックしようとした瞬間、手が止まってしまう。
オンライン英会話の無料体験に申し込もうと思い、サイトを開いた。
でも予約画面を前に、なぜかページを閉じてしまう。
副業でライティングを始めようと、クラウドソーシングサイトでプロフィールを作成した。
しかし最後の「公開する」ボタンだけが、どうしても押せない。
注目してほしいのは、これらの場面では「もっと完璧にしたい」という理想肥大ブレーキも、「どの選択肢がいいかわからない」という情報飽和ブレーキも働いていないということです。
やることは決まっている。準備も整っている。それなのに、最後の一歩だけが踏み出せない。
このとき、心の中で静かに響いているのは「自分にはまだ無理かもしれない」という声です。
これが「自己効力低下ブレーキ」の正体です。



