ヘルスケア

2025.12.22 10:15

頭が良い人ほど動けない「賢者病」の正体と心理学的な脱出法

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認知的不協和とは、アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーが1957年に提唱した概念です。

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人が心の中で矛盾する2つ以上の「認知」を同時に抱えるときに生じる、不快な心理的状態を指します。ここでいう「認知」とは、考え、信念、価値観、行動、知識などを広く含みます。

例えば、「私は健康になりたい」という考えと、「毎日タバコを吸っている」という行動は互いに矛盾しています。

この矛盾が、認知的不協和として心の中にストレスや不快感を生み出すのです。

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「行動を変える」のではなく考え方で自分を納得させてしまう

この不快感を解消するために、人は次の3つのうちいずれかの方法で矛盾を解消しようとします。

(1)行動を変える(矛盾する行動をやめる、または始める)
例)禁煙を始める。タバコを捨てる。

(2)考えを変える(矛盾する認知を正当化するために、考え方や信念を変える)
例)「ストレス解消のためには喫煙が必要だ」「まわりにも吸っている人はたくさんいる」「今すぐやめなくても大丈夫」と考える。

(3)新しい認知を追加する(矛盾を解消するような新しい情報や考え方を取り入れる)
例)「健康のためには運動も大事だから、タバコを吸っていても運動すれば大丈夫」と考える。

認知的不協和の理論では、人は不快感を解消するために3つの方法のうち最も楽な方法を選びがちです。

理想肥大ブレーキの場合、「行動を変える」のではなく、「今はまだその時期じゃない」「もっと準備してから」といった考え方で自分を納得させてしまうことが多いのです。

しかし、ここで重要なのは、認知的不協和が生じるということは、そもそも「理想がある」という証拠だということです。

矛盾を感じるからこそ、心の奥では「変わりたい」「成長したい」という気持ちが存在しているのです。

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文=土肥優扶馬/読書インフルエンサー

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