ヘルスケア

2025.12.22 10:15

頭が良い人ほど動けない「賢者病」の正体と心理学的な脱出法

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つまり、大きな目標は確かに指針になりますが、それだけでは僕たちを動かす力にはなりません。

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むしろ理想と現実のギャップが大きすぎると、「まだそこにたどり着けるレベルじゃない」という思考が働き、足を止めてしまう。

この「まだそこにたどり着けるレベルじゃない」と思ってしまう心の動きこそが、「理想肥大ブレーキ」です。

「今はまだそのときじゃない」とずっと言い訳してしまう

一歩を踏み出すために描いたはずの理想が、皮肉にも、その一歩を重たくしてしまう──これが理想肥大ブレーキの正体です。

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真面目に、目標に向き合おうとする人ほど、このブレーキは強く働きます。

例えば、「YouTubeで動画配信を始めたい」と思ったとしましょう。

ここでポイントになるのは、「なぜ、動画配信を始めたい」と考えたかです。

漠然と動画を作りたいと思う人は、それほど多くないでしょう。

チャンネル登録者1000人を超えて収益化できている自分、視聴者からのコメントで「励まされました」と感謝される自分、自分の知識や経験で誰かの役に立っている自分──こうした理想像を一度は思い浮かべたからこそ、動画配信を始めたいと考えるのではないでしょうか。

それらは確かに希望であり、憧れであり、モチベーションの源です。

けれどその理想が高ければ高いほど、今の自分がどれだけそれに届いていないかを強烈に突きつけられるのです。

いざ撮影しようとカメラの前に座っても、

「今の自分の話し方では視聴者を引きつけられない」

「まずは動画編集ソフトの使い方を完璧にマスターしなきゃ」

「人気YouTuberのような企画力もトーク力もない」

などと理想の自分との距離を常に測ってしまい、やがて行動が止まってしまいます。

この現象は、心理学の「認知的不協和」そのものです。

次ページ > 「認知的不協和」とは?

文=土肥優扶馬/読書インフルエンサー

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