銅、金、銀の価格は今年、投資家が政治的不安定やドル安へのヘッジとして買い進めたことで着実に上昇している。主要金属全般で供給が逼迫していることも追い風となり、近年で最も強い安全資産としての上昇相場に拍車がかかっているという。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYME)のデータによると、銅価格は米国時間12月3日に1MT(メートルトン)あたり1万1485ドルの過去最高値を記録し、今年これまでに34.1%上昇している。
この価格高騰は、AIデータセンターの構築や再生可能エネルギープロジェクトにより、通常は電気自動車やスマートフォンに使用される銅の供給が逼迫していることが原因と考えられる。また、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、米国の関税が来年の銅の出荷を混乱させる可能性があるという懸念も、この金属の勢いに拍車をかけているという。
一方、NYMEによると、昨年1オンスあたり29.24ドルで終了した米国の銀先物は米国時間12月3日に58.88ドルに達し、101.4%の急騰を記録した。また、金も年初来で60.7%上昇している。
金と銀の需要は、関税や先月終了した歴史的な米国の政府閉鎖といった政治的不安定性、インフレ、ドル安に対するヘッジを求める投資家が増えたことで上昇しているとブルームバーグは報じている。
コンサルティング会社ウッド・マッケンジーによると、2025年の精製銅の供給不足予測量は30万4000トンであり、2026年はさらに大きな不足が予想されている。
なぜ「ディベースメントトレード」と呼ばれているのか?
ブルームバーグによると、米国、フランス、日本を含む主要経済国の通貨が今年弱体化し、投資家はビットコインや金属へと資金を移動させている。これはウォール街で「ディベースメントトレード」と呼ばれ、不安定な政府の政策が通貨の購買力を侵食する可能性があるという考えに基づいている。
この変化は、政治的不安定性により主要通貨が金、銀、銅などの安全資産よりも財政的・政策的ショックにさらされやすいという懸念を反映しているという。ドル指数によると、ドナルド・トランプ大統領が就任して以来、ドルは約9.6%下落している。
今後の注目点
一部の投資家は「ディベースメントトレード」の考え方が通貨リスクを誇張していると主張しているとブルームバーグは述べている。彼らは、世界の投資家が依然として大量の米国政府債を保有していることを指摘し、これがドル資産からの広範な逃避という主張を弱めていると述べている。
ポリマーケットとカルシは、連邦準備制度の理事会が今月金利を0.25%引き下げる確率をそれぞれ95%と93%と予測している。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、利下げは通常、利回りを生み出さない資産に対する投資家の意欲を高める。



