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2025.12.06 09:00

心拍データからの新発見、Apple Watch「高血圧パターンの通知機能」が日本上陸

Apple Watchで計測した血圧パターンの通知機能をiPhoneに通知・記録できる機能が、12月4日から対応するApple WatchとiPhoneの組み合わせにより、日本でも使えるようになった

通知を受けたユーザーは、アプリから蓄積されたデータをPDF形式のファイルとして出力できる。また、家庭用血圧計で測定した数値を手入力でヘルスケアアプリに追加し、Apple Watchの検知データと併せて管理することもできる。これらの情報をまとめてかかりつけの医師に提示すれば、診察時のコミュニケーションはより円滑で正確なものになるはずだ。

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開発の起点は「心拍データから高血圧の兆候が発見可能」だとわかったこと

「高血圧パターンの通知機能」はどのような経緯で誕生したのだろうか。アップルの臨床責任者であるアシャ・チェスナット博士と、Apple Watchプロダクトマーケティング担当のケイト・ドゥーリー氏に開発の舞台裏を聞いた。

新機能の開発は、初代のApple Watchから搭載されている光学式心拍センサーの新たな可能性が「発見」できたことが起点になったという。ドゥーリー氏が「私たちは常に科学が導く方向へと進んできました」と、歩みを振り返る。

従来、Apple Watchは心拍数などを計測するために光学式心拍センサーを使っていた、アップルの研究チームはこのセンサーが捉える脈波の波形から、血流に対する血管の反応が読み取れることに着目した。特に血管が硬くなるなどの変化がわかることによって、高血圧に関連する生理学的シグナルの特定にもつながったのだ。

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Apple Watchが搭載する心拍センサーと、新規開発のアルゴリズムによる革新が「高血圧パターンの通知機能」を誕生させた
Apple Watchが搭載する心拍センサーと、新規開発のアルゴリズムによる革新が「高血圧パターンの通知機能」を誕生させた

「光学式心拍センサーの情報から高血圧の兆候が発見できるとわかったことは、私たちにとっても大きな発見であり、技術的なブレイクスルーとなりました」(ドゥーリー氏)

チェスナット博士は、この機能の中核を担うもうひとつの大事な要素が、高度な機械学習アルゴリズムであると説明を続ける。

「慢性的な高血圧の兆候がある場合、血流に対する血管の拡張・収縮の反応が正常な血圧の場合とは異なります。私たちは既知の高血圧患者を含む広範な人々からデータを収集して預かり、光学式心拍センサーが計測した波形の“どの部分”を読み解くべきかを機械学習モデルに学習させました」(チェスナット博士)

このアルゴリズムは30日間という期間の中で生理学的データを多層的に解析し、一時的な血圧上昇ではなく持続的な高血圧パターンのみを抽出するようチューニングされている。

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編集=安井克至

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