ほとんどの人はほんの少し交流するだけで疲れ果てた気分にさせる人物を少なくとも1人は知っている。初めは気分が良かったのに、会話が終わる頃には活力がすべて吸い取られ、圧倒されたり感情的に消耗したりしている。こうした人に「有害」のレッテルを貼るのは簡単だが、通常、実際はもっと微妙だ。多くの場合、相手を疲れさせる人たちは悪意を持って行動しているわけではない。意図せず他人に影響を与えるパターンにとらわれているだけにすぎない。
「あの人」があなたの活力を奪う4つの一般的な理由と、その対処法を紹介しよう。
1. 感情の調節をあなたに依存している
感情的に消耗させる人の中には、自分の感情の管理を他人に依存している人がいる。このパターンは「調節の外在化」と呼ばれ、さまざまな形で現れる。
・愚痴を延々と吐き出すが、状況改善のための行動は一切取らない
・あらゆる会話を感情を吐き出す場に変える
・常に慰めや助言、共感を求める
健全な自己調節のスキルを身に付けていない人は不安や悲しみ、ストレスを周囲の人に押し付けることがある。そして周囲の人は時として自覚することなく、あるいは同意なしに彼または彼女の感情を安定させる人となる。
境界線なく繰り返し感情を押し付けられると、ストレスで心身が消耗
専門誌『Hormones and Behavior』に2021年に掲載された研究では、人間の脳は他人の感情を自身の感情と同様に処理することがわかった。これは「感情伝染」として知られる現象によるものだ。
この意味で、境界線なく繰り返し感情を押し付けられるとストレス反応が起こり、心身が消耗する。やがてこれは共感疲労へとつながる。たとえ相手を気にかけていても、神経系が受け止められる感情の激しさには限界があり、それを超えると次第に疲弊していく。



