三重の連星系と漏斗型の穴
今回公開されたアペプの最新画像は、JWSTのデータと南米チリにある欧州南天天文台の超大型望遠鏡VLTのデータを組み合わせたものだ。研究チームが新たに3層の殻を発見できたのは、熱を保持する炭素の塵から放出される微弱な赤外線を検出する能力がJWSTにあったからである。
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JWSTのデータからは、アペプが三重星系であることも明らかになった。第3の星である大質量超巨星は、ウォルフ・ライエ連星から離れた軌道を公転し、塵の殻を歪ませている。この超巨星の運動により、画像上で10時方向から2時方向にかけてV字型の隙間が形成されている。「この空洞はそれぞれの殻のほぼ同じ位置にあり、漏斗のように見える」とホワイトは述べた。
アペプは今後どうなる？
アペプの未来は激しく不確実だ。2つのウォルフ・ライエ星はどちらも急速に質量を放出しており、やがて超新星爆発を起こしてその一生を終えるとみられる。宇宙で最も強力なエネルギー爆発現象であるガンマ線バーストを引き起こして崩壊し、最終的にブラックホールと化す可能性もある。
「JWSTの新たな観測結果を見たとき、暗い部屋に入って電気を点けたように感じた。全てが見えるようになったのだ」と、米カリフォルニア工科大学の博士研究員で、11月に発表されたアペプの最新画像に関するもう1つの論文の筆頭著者であるイヌオ・ハンは語っている。
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JWSTがウォルフ・ライエ星を撮影したのは今回が初めてではない。NASAは2023年3月、約1万5000光年離れたウォルフ・ライエ星「WR 124」の驚くべき画像を公開している。
