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2025.12.12 08:15

オフライン回帰が、これからのエンタメを左右する 電通創造進化論――金林真の場合

制約があると物事は格段に面白くなる

——リアルからバーチャルに向かっていたベクトルが、急に逆に向いてきたようで意外な感じがします。

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金林:リアルなエンターテインメントも変わってくると思います。今は真ん中で起きていることを、みんなが同時に見るものがほとんどです。出演するアーティストに2時間集中しないといけない。

今年5月にハリウッドのユニバーサルスタジオのファン向けイベントに参加しましたが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の撮影セットの中を歩くことができて、そこで俳優が演技をしていたりするんです。

——だいぶリアルの要素が強いですね。

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金林:スーパーリアルです。今後はこういうリアル体験が重要性を増していく。好奇心の赴くまま、自由に歩き回りながら演技をみて、物語を体験するようなエンターテインメントが増えると思います。 

——2013年にはARのアプリでカンヌ国際広告祭の賞も受賞されました。現在はAR、VRなどのテクノロジーを使って課題を解決する、電通グループの横断組織「XRX STUDIO」を主宰されています。ARはVRより面白みがありそうですが。

金林:VRは現実にないものを自由につくれるけど、ARはこの空間で、といった制約が発生します。制約があると物事は格段に面白くなるんですよ。ある程度の制約がある、「ロケーションVR」が今、伸びています。会場に行って体験するVRです。

例えば、宇宙旅行をテーマにした「TeNQ(テンキュー)」(東京ドームシティ)とか、古代エジプトを旅する「HORIZON OF KHUFU」(横浜・名古屋)です。行ってみて客層の違いを感じました。旧来のVRユーザーは30代から50代くらいの男性が大半でした。イベントに行くと、この層の男性だらけなんですよ。

——えっ、それは知りませんでした。

金林:開発者もわずかに女性もいましたがほとんどは30-50代の男性でした。でも、こういうロケーションVRには、10代の女性グループとか、エジプト好きの老夫婦とか、老若男女が来ています。今までとは違うゾーンに突入してますね。やはり「好奇心」が重要なワードです。今後は好奇心を使ったエンターテインメントが増えていくと思います。 

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text by Yuri Nakausa/ photographs by Yuta Fukitsuka

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