北米

2025.12.05 13:00

ビル・ゲイツ、USAID解体は「とてつもなく大きな過ち」 子どもの死亡数は約20万人増の可能性も

Bryan Bedder/Getty Images for Bloomberg Philanthropies

Bryan Bedder/Getty Images for Bloomberg Philanthropies

マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツは、トランプ政権が米国際開発庁(USAID)を解体したことについて「とてつもなく大きな過ち」だと批判し、これが数十年ぶりの子どもの死亡数増加につながったと述べた。これはゲイツ財団が米国時間12月4日に公表した報告書によるものだ。

世界の5歳未満の子どもの死亡数は、前年より約20万人増える可能性

2025年における世界の5歳未満の子どもの死亡数は、前年より約20万人増える可能性があるとされている。これは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の進捗を評価する、ゲイツ財団の年次報告書『Goalkeepers Report』による分析である。

ゲイツはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、この増加は各国の慈善家や富裕国による世界的な保健支援が27%削減されたことに関連していると説明した。米国では2025年、ドナルド・トランプ大統領の大規模な政府人員削減の一環としてUSAIDが閉鎖された。

ゲイツは数カ月にわたり、この削減がさらなる子どもの死亡につながると警告しており、7月には「こうした削減の破滅的影響は完全に防ぐことが可能で、まだ逆転は間に合う」とXに投稿していた。

ゲイツはWSJに対し、資金の減少にともなう影響を取り戻すには数年かかると警告し、「おそらく5年間は非常に厳しい時期になる。最良の結果でも、子どもの死亡数を横ばいに保つのが精いっぱいだ」と述べた。

USAIDの廃止は「大きな過ちだったと確信している」

ゲイツはUSAIDの廃止についても言及し、「これはとてつもなく大きな過ちだったと確信している。それが今年の混乱と、死亡数増加の一因になっている」と語った。

ホワイトハウスの報道官はWSJの取材に対し、ゲイツの指摘やUSAID廃止に対する批判に関連して、「政府は、米国の納税者が負担するすべてのプログラムが米国の利益に沿うことを確実にしている(中略)パートナー国は自国民のニーズに対し、自立して対応したいと考えている」と述べた。

Goalkeepers Reportによれば、医療へアクセスできないことが原因で今年死亡する5歳未満児の数は、480万人にのぼる可能性があるという。

トランプは2025年1月に大統領に就任したその日に、90日間の再評価が行われるまで、すべての対外援助を凍結すると記した大統領令に署名し、その後数カ月かけてUSAIDを廃止した。数千人の職員が解雇されたほか、USAIDのプログラムの80%が中止され、同庁のウェブサイトも閉鎖された。USAIDは世界最大の対外援助機関であり、1961年の創設以来、開発途上国への人道支援を提供してきた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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