米国時間12月4日、メタ・プラットフォームズがメタバース関連の支出を削減するという報道を受け、同社の株価は一時4%高となった。メタバースとは、同社がかつて仮想コミュニケーションの未来として宣伝していた仮想現実(VR)体験のことである。
早ければ来年にもVR支出縮小、最大30%削減する可能性との報道で株価4%高
メタがVRプロジェクトへの支出を早ければ来年にも最大30%削減する可能性についてブルームバーグが報じた後、同社の株価は4%高と急伸した。
2021年、マーク・ザッカーバーグは、社名をフェイスブックからメタ・プラットフォームズに変更し、「メタバースを実現する」という同社の重点を反映させ、ティッカーシンボルもMETAに変更した。
メタバース・プロジェクトは、同社がヘッドセット、アプリ、サービスなどを販売し、ユーザーが仮想アバターを通じて交流するオンライン環境を構築することに焦点を当てている。
メタのVRプロジェクトは顧客から十分な注目を集めることができず、また、同様のプロジェクトを開始したアップルやマイクロソフトとの競争の激化にも直面していた。
2023年時点で、メタが手掛けるVRヘッドセットのMeta Questは、2019年以降で2000万台しか販売されておらず、同社の仮想世界Horizon Worldsのアクティブユーザーは20万人に過ぎなかった。
メタがこのプロジェクトへと軸足を移してから、同社はメタバースに対する顧客の関心を集めることに失敗してきた。2022年、ザッカーバーグは、拡張現実(AR)グラスがスマートフォンと同じくらい普及するようになると予測し、従業員に対し、このデバイスのさまざまなバージョンを提供するという野心的な目標を課した。パンデミックの最中には、メタがリモートワークの未来としてVRヘッドセットを販売していた一方で、同社の従業員はそれらを使用していなかったという報道が出た。デバイスの重さや仮想世界のグラフィックの粗さがその理由とされた。
この課題に対し、メタは研究開発への投資をさらに増やし、より軽量で小型、より高精細で、かつ酔いにくいデバイスの開発に取り組んだ。しかし、メタの仮想環境であるHorizon Worldsはユーザーの獲得と維持に苦戦しており、そのユーザーベースは継続的に減少していた。同社がFacebook、Instagram、WhatsAppといった他のアプリとHorizonを連携させ、姉妹プラットフォームでアバターを作成する取り組みも十分な成果を上げられなかった。しかし4月、ザッカーバーグはプロジェクトを完全に放棄するとの見方を否定していた。



