防御用再利用型無人機
一方、ロシアはウクライナの無人機に対抗するため、使い捨ての迎撃用無人機の使用を増やしている。これらのシステムは自律的または半自律的に動作し、ウクライナの軍機を検知、追跡、迎撃するもので、通常、同国の軍機に体当たりして爆発させる。ロシア軍の迎撃用無人機は現在、電子戦や防空システムを含む他の対無人機対策と連動し、自国軍の陣地を保護している。
過去数カ月間にわたりロシア軍がSNSで公開した多数の動画に、再利用可能なロシア製迎撃用無人機が登場している。ある動画では、無人機がシチューの缶詰を投下することで、ウクライナ軍の無人機の迎撃に成功した。これは恐らく、無人機を再利用しようとした兵士による戦場での即興的な工夫だと思われる。別の映像では、より高度な構想が示されている。ロシア軍の迎撃機が帯電した棒を装備し、複数のウクライナ製無人機に電気ショックを与え、損傷させて墜落させるというものだ。いずれの場合も迎撃用無人機は無傷のままであり、別の任務に再利用可能な状態にあるようだ。
攻撃用無人機と同様、迎撃機も高度化が進み、敵の無人機の検知と追跡を行う人工知能(AI)搭載システムが組み込まれている。これらの迎撃機が複雑化するにつれ、コストも上昇し、使い捨てシステムとしての実用性が低下する。こうした理由から、ロシア軍は迎撃用無人機を複数回運用する新たな手法を開発し、寿命と戦闘価値を拡大しているのだ。
再利用可能な無人機の需要の拡大
ロシアの再利用可能な無人機への移行は、より高度な機器に対する需要と供給の両方の圧力から生じている。需要面では、ロシア軍はウクライナの防衛能力の向上に対抗するため、高度な感知能力や自律的な意思決定、妨害耐性のある航法を備えた無人機を必要としている。これらの機能には高価な感知装置と処理装置が必要だが、これらは片道攻撃のたびに失われる。このような高性能無人機の供給を維持するには、ロシアにとって持続不可能な部品の安定供給が必要となる。
供給面では、西側の制裁により、ロシアが感知装置や処理装置に必要な先端電子機器を入手する手段が大幅に制限されているため、同国は現在、特に中国からの輸入に大きく依存している。一方、ウクライナ軍がロシアの無人機製造拠点を攻撃していることで、国内の製造が混乱している。こうした要因により、1000キロに及ぶ前線全体で必要とされる大量の使い捨て無人機の製造が困難になっている。つまり、再利用可能な無人機の推進は、実用的かつ経済的に必要不可欠なのだ。
ロシアとウクライナの戦争の根底には無人機の優位性を巡る争いがあり、両陣営は戦場で自国の戦闘員が有利になる優れたシステムの配備を競っている。この競争の核心は、高度化する無人機の大量生産の経済性にある。ロシアは再利用可能な無人機の使用を拡大することで、この課題に対処しているようだ。ウクライナも同様の制約に直面しており、再利用可能な無人機の利用拡大へと移行する可能性がある。いずれにせよ、双方は革新を続け、進化し続ける無人機の艦隊を展開し続けるだろう。


