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2025.12.04 16:36

多くのアメリカ人が退職資金不足に直面、調査で不安の声が明らかに

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多くのアメリカ人が退職資金を十分に確保できないまま退職年齢に近づいている。そして新たな調査によると、多くの人々がこの状況に対して当然の不安を抱えている。

投資会社シュローダーが委託した調査では、退職したアメリカ人に資金不足にどう対処しているかを質問した。その答えは芳しくなかった。

シュローダーの調査によると、まず第一にインフレが退職者の重荷となっている。確かに、消費者物価指数(CPI)の上昇率は、経済再開後に需要に対して商品供給が不足していたパンデミック終息時と比べて鈍化している。2023年9月時点でのCPIは12カ月前と比較して2.9%上昇しており、これはCOVID-19直後の約3分の1の上昇率である。しかしインフレの影響は累積的だ。全体として、パンデミック終了以降、物価は15%以上上昇している。

退職者はそれを確実に実感している。「住宅、食品、医療などの必需品の価格上昇により、退職者の購買力と経済的安定性が著しく低下している」とシュローダーの米国確定拠出年金部門責任者デブ・ボイデン氏は述べている。

シュローダーのレポートによると、退職者のほぼ5人に1人が「苦労しているかそれ以上に悪い状況」にある。退職者の35%が財政状況を心配して不眠に陥っていると回答。さらに27%が毎日1時間以上お金のことを心配していると答えた。

詳細に見ると、回答者の40%だけが退職に十分なお金があると考え、45%は退職後の支出が予想より高いと答え、62%は貯蓄がどれくらい持つか「まったく分からない」と回答している。

質問によって72%から92%という大多数が、インフレによって資産が目減りしていると考え、医療費は予想より高く、収入を生み出す方法や資産の取り崩し方が分からないと回答している。回答者の大多数は、大きな市場の下落によって資産が大幅に縮小することや、資産よりも長生きすることを恐れている。

もちろん、うまくやっている人や繁栄している人も相当数いる。シュローダーの調査によると、5%が「夢のような生活を送っている」と主張し、37%が「快適」、39%が「良くはないが悪くもない」と答えている。「苦労している」と報告したのはわずか16%で、3%が「悪夢のような生活」と回答した。

2025年のバンガード「アメリカの貯蓄状況レポート」によると、45歳から54歳の人々の平均貯蓄残高は188,643ドルである。これは彼らが必要とする額からはほど遠い。いわゆる4%ルールでは、退職資金を使い果たさないためにはその額しか引き出すべきではないとされている。そうなると年間7,546ドルで生活することを余儀なくされる。それはほぼ不可能だ。

この不安に対する標準的なアプローチは、働き続けることだ。しかし、健康が悪化して働けなくなったらどうするのか?あるいは解雇され、年齢差別によって別の仕事を得られなくなったらどうなるのか?

彼らはしばしば、純資産を増やすために奔走するには手遅れだと気づく。資産形成は、働く生涯を通じて徐々に行うのが最善だ。「人々はしばしば自分が必要とする金額を軽視する」とナティクシス投資家インサイトセンターのエグゼクティブディレクター、デイブ・グッドセル氏はインタビューで指摘している。

起こりうるマイナス面を検討することは、資産計画の重要な部分だ。必要な計画を推進するには、適度な不安感が必要かもしれない。

forbes.com 原文

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