経済

2025.12.05 11:00

歴史は繰り返す? AI時代の今、80年代の製造業自動化から私たちが学ぶべきこと

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かつて、大規模なコンピューター駆動型の自動化が、多くの職を奪っていった時代があった。それは1970年代から80年代にかけて、コンピューター制御の工作機械が急速に普及し、多くの産業現場で組立工、部品製造工、機械工、旋盤工などの職を次々と奪っていった時代のことだ。自動化の波は、対応の遅い製造業者を倒産の危機に追いやるような、激しいグローバル競争によって推進された。

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この過程で、経済は製造業から知識労働へとシフトした。当時と、人工知能が知識労働者の仕事を脅かしている現在との類似点はあるのだろうか。ある研究チームは、1980年代の自動化の波との類似点はあるものの、それは限定的だと指摘している。

ケース・ウェスタン大学の経済学者、デビッド・クリンギングスミス教授は最近の研究で、プリンストン大学のリア・ブースタン教授、ブランダイス大学のジウォン・チェ助教授とともに、現代の労働者は現在のAIの波による衝撃を、1980年代の産業労働者ほど容易に吸収できない可能性があると主張している。当時の労働者には、強力な労働組合、集中的な影響、明確な再訓練の道筋があったからだ。

彼らは、40年前と比較した現在の工場の様子を指摘する。「現代の工場は機械でいっぱいで、人はほとんどいない。プログラムに組み込まれた指示に基づいて複雑な部品を生産するコンピューター制御の工作機械、部品をステーションからステーションへと移動させるコンベア、そして部品を完成品に組み立てるロボットだ」

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製造業の仕事は消滅したわけではなく、むしろ高度に進化した。低技能の組立ライン工が並ぶ代わりに、現代の工場には技術者、開発者、製品の専門家が配置されている。「工場での仕事は、ますます機械のプログラミングに関する高度な理解と、多くの場合、大学の学位を必要とするようになっている」

労働者たちは当初の衝撃を緩和するために労働組合による保護を受けたが、同時に再訓練や教育プログラムへと集団的に移行していった。

以前、「工作機械は、半熟練の機械工が手作業で仕様通りの操作を行うことを必要としていた」と彼らは説明する。「自動化された工作機械は、1970年代に広く普及し始めた。新しいコンピューター数値制御(CNC)ツールの登場は、定型作業を熟練労働者が監督する詳細なコンピュータープログラムに置き換えた」

グローバル経済における競争力の強化とともに、少なくとも当時の結果は良好だった。「CNC工作機械の影響を強く受けた金属製造業では、産業レベルでも地域の労働市場レベルでも、総雇用の減少がほとんどないまま、労働生産性が向上した」と共著者たちは指摘した。「労働需要は低・中技能労働者から大卒者へとシフトしたのだ」

生産性の向上、中核業務からの転換、全体的な失業の抑制というこの組み合わせは、「CNC工作機械を、20世紀初頭の工場の電化による大規模な自動化の成果と、今日の産業用ロボットに関連するより最小限の成果の間に位置づけている」。

言い換えれば、1980年代の工場自動化の台頭は、今日のAI環境で模倣する価値のある長期的な成功事例と見なすことができるだろう。雇用主が訓練と教育を提供し、知識労働者にスキルセットを伸ばす機会を与えることに重点が置かれている。状況は変化しているが、教訓は、先進技術の導入を進めることが、長期的には全ての船を前進させる潮流となりうるということだ。

forbes.com 原文

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