サイエンス

2025.12.05 18:00

猫と天気の不思議な関係を探る

marieclaudelemay / Getty Images

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猫は人気のあるペットだ。先週、大学生の息子が毎年恒例の「子猫を飼わせてくれ」キャンペーンを再開した。私たちはついに折れてしまい、いまやシェパード家は、ノヴァと名付けたかわいい子猫の飼い主であることを誇りに思っている。彼女はアトランタ地域の地元の動物保護施設から引き取った。そこで、アメリカ気象学会(AMS)の会長を務めた経験など天気に強い関心を抱いてきた身として、猫と天気の不思議な関係を探ってみるのは面白いだろうと思った。

猫と天候に関する迷信、小さなかわいい気圧計

猫には天気を予知したり、天候の変化に敏感であったりするという記事や逸話がいくつも存在する。ヨーロッパの初期の文化では、じゅうたんを引っかく、耳を洗う、四本の脚をすべて体の下にしまい込んで眠るといったしぐさが、天気の変化の前触れだと信じる人たちもいた。エリノア・デューアが1992年に雑誌『Weatherwise』に寄稿した記事では、ほかの迷信についても論じている。なかでもよく知られたものの1つは、猫が草を食べると雨や嵐の兆しだとする迷信だ。

年齢を重ねるにつれ、気圧の変化で関節が痛む、あるいは敏感だとこぼす高齢者の気持ちに、私もますます共感するようになってきた。私たちの体には、気圧を感じ取る能力が備わっている。猫にも同じ能力がある。多くの情報源は、猫は気圧の変化に敏感な「小さなかわいい気圧計」だと指摘している。気圧の変化は、多くの場合、天候の変化と結びついている。猫の耳は気圧の変化に敏感であり、そのため急激な天候の変化が起こると、猫が落ち着かなくなることがある。ちなみに、私たち人間の耳も気圧の変化に敏感である。高度が大きく変化したときに、耳が「ポン」と鳴るような感覚を覚えたことはないだろうか。

猫はまた、遠くの雷鳴や、風の強いときに葉がこすれ合う音といった外界の変化を、人間よりもずっと早く察知できる可能性がある。たとえばウェブサイトTheArkPet.comには、「ネコ科動物は非常に発達した聴覚と嗅覚を備えており、それが近づきつつある天候の変化を感知する能力をさらに高めています。猫は、人間の能力をはるかに超えた周波数帯の音まで聞き取ることができます」と書かれている

彼らの鋭い嗅覚も、予報の手がかりになりうる。雨のにおいは「ペトリコール」と呼ばれる。数年前に私が書いたとおり、「ペトリコールとは、雨の香りを表す言葉である……。この現象の基本的な化学的仕組みは、分解された有機物が土壌、岩石、さらには鉱物と混ざり合って生じる、興味深い化学的な混合物に関係している」。雷はオゾンも生成する。Felidae Conservation Fundによれば、猫の嗅覚をつかさどる嗅上皮(においの情報が脳へと伝えられる領域)の面積は、人間のそれよりも何倍も広い。情報源の中には、猫は人間よりも先にペトリコールやオゾンのにおいを嗅ぎ取ることができると主張するものもある。

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翻訳=酒匂寛

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