サイエンス

2025.12.05 18:00

猫と天気の不思議な関係を探る

marieclaudelemay / Getty Images

季節や天候の変化と飼い猫の行動の関係

気圧や感覚に関する能力だけでなく、猫にはほかにも「気象計」としての機能がある。猫の被毛は空気中の水分量に敏感であり、温度の変化も感じ取る。私は小学6年生のとき、理科の自由研究で、人間の髪の毛を使って湿度を測る器具である湿度計(ハイグロメーター)を作ったことがある。人間は、湿度の変化が原因で髪型が決まらない「バッド・ヘア・デイ」をよく経験する。では、猫にも「バッド・ファー・デイ」があるのだろうか。

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気温、湿度、風の強さを示す指標が高いとき

猫と天気の関係は、民間伝承、事実、そしてフィクションが入り混じったものに根ざしている。しかし、私は科学者であり、信頼できる研究と査読の有無を重視する立場にある。学術文献の数はそれほど多くないが、学術誌『Animals』に2025年に掲載された研究が目に留まった。研究者たちは、季節や天候の変化が飼い猫の行動にどのような影響を与えるかを調べた。

気温、湿度、風の強さを示す指標が高いときには、横たわっている時間、食事をしている時間、立っている時間が長くなる傾向が見られた。反対にこれらの条件の下では、毛づくろいをしている時間、座っている時間、排泄している時間は短くなる傾向も確認された。日照時間が長い場合も、同様の傾向がみられた。

『Longitudinal Study on the Effect of Season and Weather on the Behaviour of Domestic Cats (Felis catus)』(飼い猫の行動に及ぼす季節と天候の影響に関する継続研究)と題されたこの研究では、降雨量が増えると毛づくろいと引っかき行動の時間が減少することも明らかになった。

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猫と犬の飼い主からの報告

イタリアで行われた2022年の研究では、猫と犬の飼い主からの報告を分析した。その分析によると、犬と猫のいずれにおいても、天候が寒いときには遊びなどの活動が増えることがわかった。逆に、飼い主たちは、暑い天候や急激な気温の低下が起きると、眠る時間が増える傾向があると答えた。この研究では、天候と粗相(排泄物による汚れ)との間に関連は見られなかった。しかし、猫の飼い主からは、激しい雨や雷雨の際に猫の神経質さや不安が増すという報告が寄せられていた。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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