誰もがAIによる環境への影響拡大を心配している。その懸念自体はもっともだが、現実には、Netflixを1時間視聴すると、GeminiやChatGPTにテキストプロンプトを2回送る場合と比べて、CO2排出量は500倍に達する。
国際エネルギー機関(IEA)によれば、データセンターとAI、暗号資産を合わせた電力使用量は2022年に約460テラワット時で、2026年には1000テラワット時を超える水準にまで急増すると見込まれている。また、米国エネルギー省によると、データセンターは2023年に米国内の総電力消費量の約4.4%を占めており、2028年までには6.7〜12%に達する見通しだ。つまりAIとデータセンターは、私たちの電力をどんどん吸い上げており、私たちの「デジタルな食欲」を満たすために、大手テック企業が原子炉の活用まで検討する段階に来ている。
しかし、AIだけを責めるのはあまりに単純すぎると、TRG Datacentersの新たなレポートは指摘する。私たちが好んで行っているほかの多くのデジタル中心の活動の方が、潜在的にははるかに悪影響を及ぼしている可能性があるのだ。
たとえば、YouTubeを視聴したり、Zoomの会議に参加したりするだけでもそうだ。Netflixを1時間「イッキ見」すると0.12キロワット時の電力を消費し、42グラムのCO2を環境中に放出する。これに比べるとZoomを1時間利用する方が効率的で、必要な電力はわずか0.05キロワット時、排出されるCO2は17グラムだ。
以下は、一般的なデジタル活動が環境に与える相対的な影響だ。
・YouTubeまたはNetflix、1時間(HD画質)
約0.12kWh → CO2 42グラム
同調査で最も「汚い」単独の活動と同率タイ。
・テキストから動画への生成(text-to-video)、6〜10秒の動画
約0.05kWh → CO2 17.5グラム
ズームを1時間利用するのとほぼ同じ。
・Zoom、1時間
約0.0486kWh → CO2 17グラム
・短いメール(添付ファイルなし)
約0.0133kWh → CO2 4.7グラム
1通だけ見ればごくわずかだが、世界中で1日に数十億通送られているとなると話は別だ。
・AI画像生成、画像1枚
約0.003kWh → CO2 1グラム
・音声アシスタントへの問い合わせ(Alexa、Siriなど)
約0.0005kWh → CO2 0.175グラム
・グーグル検索またはAIチャットボットへのプロンプト
約0.0003kWh → CO2 0.105グラム
・Geminiへのプロンプト2回
約0.00024kWh → CO2合計0.084グラム(プロンプト1回あたり約0.042グラム)



