AIの環境負荷はNetflix、Zoom、YouTubeと比べるとほとんど「グリーン」

zhongguo / Getty Images

明らかに、AIにいくつか質問する程度——たとえ勤務時間を通じて継続的に利用したとしても——その環境負荷は、ほかの複数の活動ほど大きくはない。もちろんAIにも例外があり、それがテキストから動画を生成するtext-to-videoだ。これは非常に重い処理であり、データセンターのエネルギーを急速に消費する。

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(この調査が対象としていない別の大きな要因もある。それはAIモデルの学習だ、何十万ものハイエンドGPUを何カ月にもわたって稼働させる、莫大な電力を要する作業である)。

無論、どのようなデジタル利用であっても、それだけで環境にやさしい活動になるわけではない。テックセクター全体として見れば膨大なエネルギーを消費しており、地球規模の汚染に大きく寄与している。しかし、打つ手はある。

TRG Datacentersの広報担当者はメール声明で次のように述べている。「テックセクターは昨年、約9億トンのCO2を大気中に追加しており、これはドイツ1国の年間排出量に匹敵する。2025年末までには、その数字は12億トンを超えると見込まれている。問題は、テクノロジーを使うかどうか(それは避けられない)ではなく、何でそれを動かすかだ。現時点で、データセンターのエネルギーのうち再生可能エネルギーが占めるのは約30%にすぎない。もし皆が力を合わせ、その比率を80〜90%に高めることができれば、誰も行動を変えることなく、あらゆるデジタル活動のカーボンフットプリントを半分以下に削減できる」。

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鍵となるのは、太陽光、風力、波力、水力など、そしてその他あらゆる再生可能エネルギー源への移行だ(たとえばアイスランドは地熱エネルギーを広く利用していることでよく知られている)。

早期に取り組みを始めることが重要だ。ゴールドマン・サックスの2025年のレポートによれば、あらゆる形態のAIにより、2030年までにデータセンターの電力使用量は165%増加すると見込まれている。この電力のうち再生可能エネルギーの比率が高ければ高いほど望ましい。

アップルは、その先頭を走る巨大テック企業の1社だ。同社は現在、本社やオフィス、小売店舗、データセンターといった企業活動のすべてを100%再生可能電力で賄っており、製造、サプライチェーン、顧客による利用を含む事業全体を今後5年以内にカーボンニュートラルにする「Apple 2030」という目標を掲げている。

また、グーグルの第7世代の新しいIronwood AIチップのような取り組みは、より高性能でありながらエネルギー効率も高く、生成される回答や画像に対する私たちの増大する欲求を満たしつつ、電力需要の抑制にもつながる。

つまり私たちは、デジタルの利便性を享受しながら、その環境負荷を抑えるという「良いとこ取り」を実現できる可能性がある、ということだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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