暗号資産

2025.12.05 15:00

トランプと暗号資産業界の「露骨な癒着」を示す人脈、米民主党が追及開始

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リップル

トランプが暗号資産に対する姿勢を一転させたことで、最も大きな“振れ幅”に直面した企業が、リップルかもしれない。2020年12月、同社がデジタル資産を未登録証券として投資家に販売したとして最初に提訴したのは、他でもないトランプ政権下のSECだった。かつてトランプ所有のビルにオフィスを構えていたリップルは、その後、トランプの就任式委員会に500万ドル(約7億8000万円)を拠出した。そして2025年8月、トランプ政権は自ら控訴していた訴訟を取り下げた。しかし、リップルにはなお1億2500万ドル(約194億円)の罰金支払い義務が残された。

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ロビンフッド

SECは2024年5月、ネット証券ロビンフッドに対し、同社が提供する暗号資産の大半が未登録証券に該当する可能性があるとして強制措置を警告した。ロビンフッドはその後、トランプ大統領の就任式典に200万ドル(約3億1000万円)を提供した。同社の共同創業者兼CEOのブラッド・テネフは2024年12月、Foxビジネスの番組で当時を振り返り、バイデン政権とSECが間違った方向に進んでいたと主張した。トランプが大統領に就任してから約1カ月後、SECはロビンフッドに対し、調査が終了したことを通知した。

ロビンフッドの株価は、トランプが大統領選で勝利して以降に300%以上上昇している。同社の広報担当者は声明で、就任式への寄付とSECの判断に「関連性はない」と語っている。

ロジャー・バー

米司法省は2024年2月、ビットコインの初期からの投資家で、「ビットコイン・ジーザス」として知られるロジャー・バーを、郵便詐欺、脱税、虚偽の確定申告の罪で訴追した。その約1年後、バーは動画を公開し、自身の身柄がスペインから米国へ引き渡され、最長109年の禁錮刑を受ける可能性があると訴えた。そして動画内で、トランプに対し「どうか助けてほしい」と懇願し、Xでも大統領に助けを求めた。

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バーはまた、トランプの側近にも協力を求め、ロビー活動のためにロジャー・ストーンを60万ドル(約9300万円)で雇った。司法省は2025年10月、バーがビットコイン売却益にかかる1700万ドル(約26億円)分の税金を逃れたことを認め、合計5000万ドル(約78億円)を支払うことで合意したと発表した。この合意は、刑事訴追を回避できる形で設計されたものだった。バーは現在、自身の大統領恩赦を求めるバナーをXのプロフィールに掲げている。

ユニスワップ

Uniswap(ユニスワップ)は、ブロックチェーン上に作られた分散型取引所(DEX)を通じて、暗号資産を売買できる仕組みを提供している。だがSECは2024年4月、このサービスが未登録の取引所にあたるとして、強制措置を示唆した。また、米商品先物取引委員会(CFTC)は、ユニスワップが「取引所のように機能した」として、同社に17万5000ドル(約2700万円)の罰金を科した。

トランプが大統領選で勝利すると、ユニスワップの創業者ヘイデン・アダムズは大統領就任委員会に24万6000ドル(約3800万円)を寄付した。するとトランプは、ユニスワップへの措置に反発したCFTCの委員を、新たな委員長に指名した。アダムズは大統領就任式の当日、この委員が「素晴らしいリーダーになる」とXに投稿した。投稿内容から、本人が式典に出席していたこともうかがえた。

トランプ政権2期目の発足から約1カ月後、SECはユニスワップに対する調査を終了した。ユニスワップの広報担当者は、同社の寄付とSECの判断の関係性を否定し、「この寄付は就任式委員会に対するものであり、候補者や政党、PACへの寄付ではない」と述べた。さらにアダムズの寄付について「他の多くの企業経営者と同様に、式典に参加するためだった」と語った。

ユガラボ

SECはまた、2021年のNFTブームのさなかに「Bored Ape Yacht Club(ボアードエイプ・ヨットクラブ)」で注目を集めたYuga Labs(ユガラボ)も、調査対象としていた。焦点となったのは、NFTが証券に該当するかどうかだった。トランプも、政権外にいた期間に自身のNFTを販売していた。

ユガラボはその後、トランプの大統領就任委員会に10万ドル(約1600万円)を寄付した。そしてトランプ政権の2期目が始まってからわずか2カ月も経たない頃、事態は一変した。「SECは、3年以上に及んだユガラボに対する調査を正式に終了した。これは、NFTとこのエコシステムを前に進めようとするすべてのクリエイターにとって大きな勝利だ」と同社はXの投稿で発表した。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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