マイクロソフトの株価は米国時間12月5日、同社がAI製品の成長目標を引き下げたとする報道を受けて1.7%以上下落した。同社はこの報道を否定し、「理解不足」を示すものだと主張している。
マイクロソフト株は米国時間12月5日午後2時15分直前の時点で1.7%以上下落し、約481.64ドルとなった。これは同社が否定声明を出す前の最大3%の下落から若干持ち直したものだ。
マイクロソフトのクラウドコンピューティング事業であるAzureの米国拠点の一部門では、AI開発ツールの売上成長目標50%を達成した営業担当者は5分の1未満だった。The Informationが報じたところによると、マイクロソフトは7月に現会計年度の目標を25%成長に引き下げたという。この情報はAzure部門の匿名の営業担当者2名の証言に基づいている。
マイクロソフトはロイターへの声明で「AI製品の総合的な販売ノルマは引き下げられていない。これは出版前に(The Information)に伝えたとおりだ」と報道を否定した。
同社はこの報道が「成長と販売ノルマの概念を不正確に組み合わせている」と述べ、これは「営業組織の仕組みと報酬体系に対する理解不足を示している」と主張したという。
12月5日時点のマイクロソフトの時価総額は3兆5000億ドル(約543兆円)であり、アルファベット(グーグルの親会社、3兆8000億ドル)、アップル(4兆2000億ドル)、エヌビディア(4兆3000億ドル)に次ぐ規模となっている。マイクロソフトは今年初め、主にAzure事業の好調な業績に支えられ、史上2社目となる時価総額4兆ドルを達成した。しかし株価はその後の上昇分を一部失い、現在は年初来15%高となっている。
2014年に同社を退任した元マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマーの純資産は、マイクロソフト株の下落により20億ドル減少し、推定1470億ドルとなっている。彼は世界で11番目に裕福な人物であり、純資産が1476億ドルと推定されるデルCEOのマイケル・デルのすぐ後に位置している。
マイクロソフトはOpenAI、グーグル、エヌビディアとともに、テクノロジーへの需要が急増するなかAIブームの最前線に立ってきた。同社は最新四半期で770億ドルの売上高を報告し、ウォール街の予想750億ドルを大きく上回った。マイクロソフトのAzureクラウド事業の売上は40%増加した。同社はまた、過去最高となる約350億ドルの設備投資を報告し、会計年度を通じて支出が増加する可能性があると警告している。
AIバブルによってテクノロジー株が過大評価されているという懸念が、近週の市場を混乱させている。バンク・オブ・アメリカが先月発表した調査によると、投資家の45%がAIバブルをトップリスクと見なしており、大多数が企業の過剰投資を懸念していることが明らかになった。これは2005年以来初めてのことだ。



