2025年10月25日発売のForbes JAPAN12月号第一特集は、「新いい会社ランキング2025」特集。上場企業を対象にした毎年恒例の大企業特集では、今年は「ステークホルダー資本主義ランキング」と、新たに「ESGフィット度ランキング」の2つを掲載している。ステークホルダー資本主義ランキングは、「地球(自然資本)」「従業員」「サプライヤー・地域」「株主」「顧客・消費者」の5つのカテゴリーで解析。ESGフィット度ランキングでは、サステナビリティ情報開示の義務化が進むなか、ESGの取り組みを自社の「稼ぐ力」につなげている企業を導き出した。同号では2つのランキング、IPOランキング上位の11企業の経営者インタビューを一挙掲載している。
AIはESG経営の新たなステークホルダーだサステナビリティ経営が大きな転換点を迎えている。膨大な量の情報開示が生み出しのたは、AI(人工知能)という「第6の利害関係者」だ。
「守り」から「攻め」へ──。今年で4年目となる「ステークホルダー資本主義ランキング」の上位には、さまざまな社会課題の解決を自社の持続的かつ経済的な成長につなげている企業が名を連ねた。同ランキングと、2025年から新たに設けた「ESGフィット度ランキング」のデータ収集・分析を手がけたサステナブル・ラボCEOの平瀬錬司に、2つのランキングから見えた注目ポイントや、サステナブル経営の現状と課題を聞いた。
25年版ランキングの結果からは、「形式主義から本質主義へ」という流れが顕著に見て取れる。24年版までは、環境規制などに対応しなくてはならないという「守り」の姿勢で情報開示に取り組む東証プライム上場企業が一定の評価を得ていた。今年のランキングの上位には、自社の事業の本質を熟考したうえで、社会性と業績の向上をリンクさせた「攻め」の情報開示に取り組む企業が名を連ねる結果となった。
「ステークホルダー資本主義ランキング」の結果をカテゴリー別に見てみると、人的資本(「従業員」の項目)の高さがほかの4つのカテゴリーに好影響を与えていることがわかる。特に、製造業では人的資本と「サプライヤー・地域」との関連性が強い。
サプライヤーや地域と良好な関係を築き、ポジティブな影響をもたらすには、現場と直接つながりをもつ従業員の力が不可欠だ。マルチステークホルダーとの関係性が企業の業績向上を左右するのだと従業員が納得し、エンゲージメントが高い状態で業務に前向きに取り組むことで、サプライヤーや地域に良い影響を与えることができる。サプライヤーや地域の期待に応え、感謝されれば従業員のさらなる士気の高まりにつながる。ランキング上位企業には、こうした好循環が生まれているように思う。
一方、企業による考え方の違いが浮き彫りになったのが「株主」のスコアだ。総合ランキングの上位企業を見ると、ほかのスコアよりも株主のスコアが有意に高い企業と、どのスコアもバランスよく高めの企業の2タイプが存在する。
株主のスコアが高い企業は、配当性向やPBR(株価純資産倍率)、ROIC(投下資本利益率)などが際立っている。株主還元などの比重の置き方に大企業の個性が垣間見られる点は興味深い。



