AI

2025.12.04 16:00

10代の33%がAIに深い相談、「心の居場所」に──Z世代が示す未来の生き方

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AIと築く新たなつながり

若者はAIに感情的な支えを求めるだけでなく、より深い関係性を築き始めており、場合によってはLLM(大規模言語モデル)と交際するケースすらある。一見するとディストピア的なSF小説の一場面のようだが、若年層の孤独の深刻化や、Z世代がChatGPTなどのAIプラットフォームと過ごす時間の増加を踏まえると、この潮流が納得できるものに思えてくる。ティーンエイジャーを主なターゲットとするウェブメディア『ティーン・ヴォーグ』の報道によれば、ティーンの72%がAIコンパニオン(話し相手・友達型のAI)を一度は利用した経験があり、Z世代の80%はAIをパートナーとした結婚を検討すると回答している。生身の人間との接点が希薄になり、デジタル画面越しのコミュニケーションが中心の世代にとって、AIチャットボットと恋愛関係を築くことは決して異質とは感じられない。現実の関係と疑似的な関係の境界線は、いまや急速に曖昧になりつつある。

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AIが人間の仕事を奪うことへの警告は多い一方で、人間の心を奪う可能性への懸念は、まだ十分に語られていない。AIコンパニオンは、人々が思っている以上に急速に主流化しつつある。例えば、AIコンパニオン・プラットフォーム「Replika」のアクティブユーザー数は既に3000万人を超える。もはや、AIコンパニオンに恋をするのは偶然ではない。ユーザーが日常的にAIとチャットし、感情を共有し、承認される時間が増えるほど、人は慣れ親しんだものに好意を抱く心理現象、いわゆる単純接触効果を経験する。AIコンパニオンは、個人のニーズや要望に合わせて関係を最適化できる。リアルな人間関係とは異なり、映画や食事の選択に妥協する必要もなく、全てがユーザー中心で進む。こうした特性を考えれば、AIコンパニオンは、マーケティングの観点で史上最も効果的な広告媒体になり得る。製品の推薦は、ブランドやインフルエンサーからではなく、あなたをよく理解し、気遣ってくれるAIコンパニオンから発せられるようになるかもしれない。

テクノロジー企業は、AIコンパニオンをEコマースの新たなフロンティアと位置付けている。メタは、友人ネットワークの延長としてAIボットを活用する戦略に投資を拡大中だ。マーク・ザッカーバーグはインタビューで、将来的にはAIチャットボットの友人の数が人間の友人を上回る可能性があると予言している。また、OpenAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)は、元アップルのデザイナー、ジョニー・アイブと協力し、スマートフォンやノートPCの画面を介さずに利用できるAIコンパニオンを開発中だ。さらにX(旧ツイッター)のチャットボット「Grok」は、月額30ドル(約4660円)で、ユーザーが親密なやり取りを楽しめる少女アバター「Ani」を導入している。

リアルな交流へ回帰の動きも

あらゆる行動には、等しく反対の反応が伴う。今、Z世代はアルゴリズム主導の生活に反発し、現実世界での人間関係や体験を重視する動きを見せ始めている。コミュニティイベントや即興の集まり、ポップアップ企画に積極的に参加するZ世代の若者が増え、デートアプリよりもランニングクラブや読書会、ボードゲームなど、リアルな交流の場を選ぶ傾向が顕著だ。彼らはデジタル機器から距離を置き、自然の中でリフレッシュする時間を増やしている。中国では都市の喧騒を離れ、地方の滞在施設でシンプルな生活を送り、ワークライフバランスを整える若者も少なくない。

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2026年にはより多くのブランドが、SNSやAIプラットフォームから距離を置きたいと考えるZ世代やアルファ世代のニーズに対応する必要がある。こうした世代では、常にオンライン状態でいない姿勢こそが新たなステータスシンボルとなるだろう。感情的な親密さをAIに委ねる人々と、アルゴリズムを避けて人間同士のつながりを求める人々の間で、新たな社会的分断の兆しが見え始めている。

forbes.com 原文

編集=朝香実

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