経営・戦略

2025.12.06 08:00

世界で拡大を続ける「日本のマンガ」、講談社が語る次なる米国市場での戦略

米国の書店に並ぶ『進撃の巨人』の英語版(Shutterstock.com)https://www.shutterstock.com/image-photo/bellevue-wa-usa-circa-july-2022-2182551647

米国の書店に並ぶ『進撃の巨人』の英語版(Shutterstock.com)https://www.shutterstock.com/image-photo/bellevue-wa-usa-circa-july-2022-2182551647

日本のマンガが、視覚要素による物語表現の卓越した手法として世界的に台頭したことは、21世紀の出版およびエンタメ産業における最も大きな動向の1つである。現在、その市場規模は世界で140億ドル(約2兆2000億円)と推定されており、2033年には630億ドル(約9兆8000億円)まで成長すると予測されている。しかし、マンガが席巻してから30年以上、その読者も二世代を経た今、業界を牽引するいくつかの主要企業は、ファンを魅了し続けるための新たな戦略を模索している。

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日本の大手出版社である講談社の北米事業を統括するKodansha USAは、2008年の設立以降、『AKIRA』や『攻殻機動隊』のような古典的名作から、現在のベストセラー作品である『進撃の巨人』『とんがり帽子のアトリエ』『ブルーロック』『ゆびさきと恋々』など、いくつもの大ヒットマンガの英語版を刊行してきた。

ここ数年間では、2023年にデジタルマンガ配信サービス「K MANGA」を立ち上げ、電子図書館サービス「Hoopla Digital」と提携してマンガ作品の配信を開始。また、今年2025年には、読者投票で作品の連載開始を決定する日本のマンガ誌出版業界の慣例を踏襲した英語版の『ヤングマガジンUSA』特別増刊号を刊行している。

マンガから文芸へ

Kodansha USAは現在、散文小説に強く注力しており、近々翻訳版の刊行が予定されている作品には、1981年に出版され大ベストセラーとなった黒柳徹子の自伝的物語『窓ぎわのトットちゃん』の待望の続編も含まれる。その発刊を記念して、11月25日にはニューヨークで、『窓ぎわのトットちゃん』を原作とするアニメ映画の特別上映会を、ジャパン・ソサエティ(日本協会)と共同で開催した。このイベントでは『続 窓ぎわのトットちゃん』英語版の翻訳を手掛けた手嶋優紀が東京から来米し、翻訳版編集者のアレクサンドラ・マカロー=ガルシアや、バード大学日本語学科准教授のネイサン・ショッキーとパネルディスカッションを行った。

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翻訳=日下部博一

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