北米

2025.12.04 08:30

米ADP雇用統計、11月は3.2万人の雇用減で2023年以来最悪を記録

Joe Raedle/Getty Images

Joe Raedle/Getty Images

給与計算代行サービス大手ADPの報告によると、米国の民間部門の雇用は11月に予想よりも速いペースで急減し、ここ数年で最大の減少となった。特に中小企業が最も大きな打撃を受けた。

ADPの報告によれば、民間部門の給与支払者数は11月に3万2000人減少した。これはファクトセットがまとめた市場予想の4万人増を大きく下回る結果だった。単月での減少幅は2023年3月以降で最大となる。

従業員50人以上の企業は11月を通じて9万人の純増を報告した一方、小規模企業(従業員50人未満の企業)は12万人の減少で今回の減速を主導した。特に、従業員20人から49人の企業では7万4000人分の雇用が減少した。

部門別では、プロフェッショナル・ビジネスサービス部門が2万6000人の減少となり、その後に情報サービス(2万人減)、製造業(1万8000人減)、金融・保険・不動産など金融活動(9000人減)、建設業(9000人減)が続いた。

賃金の伸びも11月に鈍化し、現職にとどまる労働者の前年比賃金上昇率は4.4%で、10月からは0.1%低下した。

ADPのチーフエコノミストであるネラ・リチャードソンは声明で、「企業が、慎重になる消費者心理や不確実なマクロ経済環境を乗り切ろうするなか、直近の採用活動は不安定になっている」と述べた。

今回のADPによる報告は、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)前に公開される最後の雇用統計である。CMEのFedWatchツールによると、連邦準備制度理事会(FRB)がさらに25ベーシスポイントの利下げを行い、FF金利の誘導目標を3.5%~3.75%とする確率は、89%とされている。一部のFOMCメンバーは12月の利下げ支持を示唆しており、ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は11月、インフレリスクは「いくぶん軽減された」と指摘し、「近いうちの」利下げの余地があると述べた。また、ボストン連銀のスーザン・コリンズ総裁はブルームバーグに対し、FRBは雇用市場が「著しく悪化している証拠」を「目にしている」とし、それが金利の「近いうちの追加的な緩和を確実に正当化する」可能性があると語った。

FRB理事のスティーブン・ミランは、2025年初めにドナルド・トランプ大統領によってこの役に任命されて以来、50ベーシスポイントの利下げを主張し続けており、トランプも迅速な利下げを行わないFRBを批判している。

最近の民間部門雇用に関するデータは、政府閉鎖の影響で延期された労働統計局(BLS)によるより広範な雇用データの空白を埋めてきた。先日公開されたADPの報告によれば、11月8日までの4週間において、民間企業は週あたり平均1万3500人の雇用を削減しており、これは前週に報告された週あたり2500人の削減から悪化している。

BLSは、閉鎖終了後、複数回にわたり発表スケジュールを修正し、10月の雇用統計や9月の求人労働異動調査(JOLTS)は公表しない一方で、10月分の一部データは11月分のデータに組み込むとしている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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