多くの子どもたちは地上にある教室を見たことがない
とはいえ、危険は至る所にひそんでいる。国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンによると、ロシアによる全面侵攻開始以降、ウクライナでは教室に換算すると約150室分の児童が死傷した。これは約3000人に相当する。米CNNは先週、ロシアのミサイル攻撃により、ウクライナ西部テルノピリで児童7人が死亡したと伝えた。
オレナ夫人は「多くの子どもたちは新型コロナウイルスのパンデミックから5年間も物理的な教室を見ていない。これは子どもたちの知識水準だけでなく、社会的・情緒的発達にも影響を及ぼす」と指摘した。ウクライナの子どもたちがこうした環境で学ぶことは極めて困難になっている。こうした困難や危険も顧みず、同国の教育関係者は多様な子どもたちとの取り組みを続けている。
オレナ夫人は次のように語った。「通常、教師という職業を英雄的、あるいは危険な職業だとは見なさないが、ウクライナではこのように考えられている。わが国の教師たちの多くが、子どもたちが学び続けられるよう命を危険にさらしているからだ。戦火が広がる中、地下室で授業を続ける教師たちは前線の兵士や現場の救助隊員と同様、私たちの防衛の象徴となっている。今日の教師1人1人の物語は唯一無二で強い印象を与えることから、語られる価値がある」
官民による教育への取り組み
侵攻開始から3年余り、こうした活発な教育活動を支援するため、数多くの非営利団体が設立された。オスビトリヤやティーチ・フォー・ウクライナをはじめとするNGOは、ウクライナの教師が子どもたちを指導するために使う支援教材を提供するプラットフォームを構築している。これらの団体は子どもたちの学習支援も行ってきた。
オレナ夫人も2022年、ウクライナ国民の生活再建と改善を支援することを目的とした「オレナ・ゼレンシカ財団」を設立した。同財団は、戦時下で7500人を超える生徒が利用する17件の学校避難所の設置を支援した。オレナ夫人は次のように述べた。「財団のプロジェクトの主な対象は子どもや若者たちだ。子どもたちは今、戦争の現実を生き抜いていると同時に、ウクライナの未来を形作る世代だ。既に世界30カ国以上のパートナーが当財団に協力し、ロシアの攻撃の中で子どもたちが生き延びるだけでなく、成長し、学び、夢を見る機会を得られるよう、ともに取り組んでいる」
状況の深刻さにもかかわらず、ウクライナ政府と教育関係者は前進を続け、子どもたちを安全に守りながら教育する革新的な方法を模索している。オレナ夫人はこう結んだ。「ウクライナ語では、『教育』と『光』という単語の発音が似ている。これは偶然ではない。両者は同じ語源から来ているからだ。安全な学習環境や精神衛生支援、デジタルアクセスを含む教育への投資を通じて、私たちは光と希望へと歩みを進めている」


