本原陽香:メンバーについても、メンバーからの紹介制であり、理事メンバーが必ず面談してから参加してもらう形式で、280名を超える参加者に増えてきています。悩みも含めて、安心してコミュニケーションできる場、仕組みとして機能していることも大きいと思います。
こうしたメンバー増については、私たちの取り組みが寄与したと言いたいところですが、現実にはVC、CVCの数が増えて、女性が一気に増えている気がします。特に、CVCは女性がすごく多いですね。私も21年からVC業界に移ってきて、月1回イベントが行われるTokyo Women in VCにとてもお世話になりました。
鈴木絵里子:ベンチャーキャピタリストというキャリアが初めてという人たちが多いなかで、イベントなどを通じたネットワーキングの機会を提供することは、私たちの存在意義の一つでもあります。ソフィーがボストン在籍時の成功体験を再現できており、1〜3年目までの女性キャピタリストの拠り所になっています。
ベンチャーキャピタリストにおけるキャリアの最初の数年は、ネットワークを広げることを熱心に行うことが大事です。一方で、次のキャリアステップであるパートナーに昇格することは簡単ではありません。投資先のIPO(新規株式公開)やその他のエグジット、という結果がないと昇進できないという、難しい壁があります。また、独立した自分のVCを作るという最終ゴールもあり、それも応援したいと思っています。VCの独立においては、LP投資家からの資金を集めることが必要になりますが、Tokyo Women in VCによるLP投資家との交流会や紹介を通じて、実際にLP投資家から資金調達ができた女性GPの成功事例も生まれており、これも私たちの成果のひとつだと思っています。
本原陽香:この業界は結果が出るまでがすごく長いという現実があります。スタートアップ業界の「死の谷」によく似たものがVCキャリアにもある。頑張って投資をするのが第一歩、その後のバリューアップの支援はすぐには結果が出ず、よかったのか悪かったのか、フィードバックを回すのが難しいキャリアでもあります。
私も、いわゆる「死の谷」を3年目ぐらいに迎えまして、どう乗り越えようかという時に、すごく相談に乗ってもらった。GPとして活躍されているアドバイザーもこのコミュニティにはいらっしゃるので、知見をお伺いする機会があることで、5年後、10年後のために何が今できるかと考えられる機会にもなりました。それをもっと多くの人に体験してもらいたいと、24年から「女性VCグループメンタリング プログラム」として、さらに発展させています。この2年間で20名以上がプログラムを受けていただいていますが、離脱せず、意思決定者層に近づくためのロードマップ、灯台を作れたらと活動しています。
松本美鈴:私も21年にVC業界に参画して、直属の上司であるポール・マクナーニからTokyo Women in VCを紹介してもらい、参加しています。私が所属するインキュベイトファンドもGP5人が皆男性。私よりもシニアの女性が一人もいない環境で、もちろん自分でがんばるというのもありつつ、どんなキャリアを歩むのか、見えないという状況でもありました。このコミュニティにいる女性GPの方々とネットワークを作ったり、気にかけてもらえるのはとてもありがたいと思っています。自分たちもそうなっていかないといけないと思っていて、これから私も独立してファンドを作る予定で、このタイミングで4人ともみんなパートナー以上になる。ですので、これからコミュニティに参加する人たちが長く、良い形でキャリアを構築するというお手伝いをしたいと思っています。


