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2025.12.04 08:45

280人のコミュニティに。Tokyo Women in VCから見る「女性ベンチャーキャピタリストの現在地と未来」

左からTokyo Women in VC理事・松本美鈴、代表理事・ソフィー・メラリ、理事・鈴木絵里子、メンタリングプログラム責任者・本原陽香。

左からTokyo Women in VC理事・松本美鈴、代表理事・ソフィー・メラリ、理事・鈴木絵里子、メンタリングプログラム責任者・本原陽香。

スタートアップエコシステムにおけるジェンダーダイバーシティの課題は経済的観点からも重要であるとされるなか、女性ベンチャーキャピタリストのコミュニティである「Tokyo Women in VC」が発展している。現在280人の女性プロフェッショナルが参加している。

Tokyo Women in VCは2025年12月4日、独自の調査結果を発表。日本における女性VCキャピタリストの割合が20年の10.2%から25年には17.7%に増加。日本のVC業界における意思決定者も2.4%(20年)から9.0%(25年)に増加した。また、女性キャピタリストが一人もいないVCも61%(20年)から33%(25年)に減少したことがわかった。

女性ベンチャーキャピタリストの現在地と未来について、これまでの歩みとともにTokyo Women in VCの代表理事であるソフィー・メラリ、理事の松本美鈴、鈴木絵里子、メンタリングプログラム責任者の本原陽香の4人に聞いた。


ソフィー・メラリ:活動のきっかけは、米ボストンでのベンチャーキャピタリスト時代に遡ります。当時、MITスローン経営大学院でMBAを取得した後、米VCで勤務をしていたのですが、「Breaking7%」というVCで働く女性コミュニティに参加したことで、ネットワークが増え、投資先の紹介やディールフローの共有、仲間づくりという観点でとてもお世話になりました。20年1月に東京に戻った時に、コロナ禍になり、なかなかネットワーキングができませんでした。ボストンのような女性キャピタリストのコミュニティがあったらいいなと思っているなかで、昔からの友人で、ポーラ・オルビスホールディングスのCVCであるポーラ・オルビスキャピタルに勤務していた古川詩野に「一緒に立ち上げないか」と誘いました。そのなかで、今は理事となり一緒に活動している鈴木絵里子さんを始め、女性キャピタリストへヒアリングを重ねる中で、必要としてくれている人は必ずいると確信できたので、Tokyo Women in VCを発足させました。

鈴木絵里子:ソフィーらの熱い思いから始まっていますが、発足当時は初回のイベントも私たちが知っている限り全員に声をかけて30人程度が参加したという状況でした。それがみるみるうちに成長していき、今があります。信頼性を大切にしたいと思っていたので、誰がどういう思いで始めたのかを明確にして、紹介制でメンバーの方が「絶対に入ったほうがいい」と勧めてくれてきたことが実を結んでいると感じています。また、MPower Partnersの代表パートナーであるキャシー松井さんなどをはじめ、日本のスタートアップエコシステムを支えてきた方々にアドバイザーになっていただいたりと、小さいスタートながら信頼のおけるコミュニティとしてスタートできたことも非常に大きかったです。

松本美鈴:Tokyo Women in VCの目的は大きく2つあります。ひとつは、女性ベンチャーキャピタリストの中の意思決定者数を増やすこと。20年当時は意思決定者層が3%未満でした。勉強会やメンターシッププログラムなどを通して、業界に入ってきた女性キャピタリストが長く活躍して、実績を作って、意思決定者層に上がっていくところの支援です。

もうひとつは、そもそもの女性キャピタリストの総数を増やすことです。現役VCと話せるキャリアイベント「VC Career Fair」を開催するなどし、女性キャピタリストの仕事内容やキャリアパスを伝えたり、ダイバーシティ採用を行っているVCをまとめたJob Boardを作成したりしながら、総数を増やす活動もしています。

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山本智之=文 若原瑞昌=写真

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