海外

2025.12.08 13:00

2025年に誕生した「防衛ユニコーン」10社——軍事×宇宙×AIの新勢力の詳細

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1. Chaos Industries(ケイオス・インダストリーズ)

評価額:45億ドル(約6975億円)
累計調達額:10億ドル(約1550億円)
創業者:ジョン・テネット、ボー・マー博士、ガビン・フッド、ブレット・カミングス

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評価額11億ドル(約1705億円)のドローン迎撃技術のユニコーンEpirus(エピラス)を設立したジョン・テネットとボー・マー博士を含む創業者は、3年前に航空機やミサイルの接近を検知・追跡する軍用通信システムや検知技術を手がけるChaos Industriesを立ち上げた。フォーブスは2025年4月、ロサンゼルス拠点の同社が2億7500万ドル(約426億円)を調達し、評価額が20億ドル(約3100億円)に達したと報じた。

Chaos Industriesは11月、5億1000万ドル(約791億円)をValor Equity Partnersや8VC 、アクセルなどから調達。評価額は前回の2倍以上に上昇した。

2. Quantum-Systems(クアンタム・システム)

評価額:34億7000万ドル(約5379億円)
累計調達額:3億5200万ドル(約546億円)
創業者:フロリアン・ザイベル、マイケル・クリーゲル博士、トビアス・クロス、アルミン・ブッセ

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ドイツ・ギルヒング拠点のQuantum-Systems製ドローンは、ウクライナ軍が行った戦闘試験で、潜水艦や航空機を含む軍事目標の位置や動きを追跡するために使用された。同社のドローンは、GPSが利用できない環境でも稼働できる点が強みだ。2015年に設立されたQuantum-Systemsは、2025年の2回の資金調達ラウンドで合計3億4000万ユーロ(612億円。1ユーロ=180円換算)を調達し、出資者にはエアバス・ベンチャーズやピーター・ティール、CIAの投資部門In-Q-Telが名を連ねる。

3. Castelion(カステリオン)

評価額:28億ドル(約4340億円)
累計調達額:4億5000万ドル(約698億円)
創業者:ブライアン・ハーギス、ショーン・ピット、アンドリュー・クレイツ

音速の5倍で飛行する極超音速ミサイルを開発するCastelionは、すでに米軍と導入契約を結んでいる。この2年間で1億ドル(約155億円)超の政府契約を獲得した同社は、中国やロシアが進める高度な極超音速兵器開発に対抗しようとする米国の戦略を後押ししている。

2023年に元スペースX社員3名によって設立された同社は、カリフォルニア州エルセグンドに拠点を置き、2025年は2つの資金調達ラウンドで合計3億5000万ドル(約543億円)を確保した。これら出資にはアンドリーセン・ホロウィッツやライトスピード・ベンチャー・パートナーズが名を連ねた。

4. Stoke Space(ストーク・スペース)

評価額:20億ドル(約3100億円。PitchBook推定)
累計調達額:9億9000万ドル(約1535億円)
創業者:アンディ・ラプサ、トム・フェルドマン

元ブルーオリジンのエンジニアのアンディ・ラプサとトム・フェルドマンは2019年、再利用ロケットのスタートアップStoke Spaceを設立した。競合のスペースXなどが、特定の部分のみを再利用しているのとは異なり、同社はロケット全体を再利用可能にする技術の開発を進めている。ワシントン州ケントを拠点とするStoke Spaceは2025年3月、米宇宙軍が進める56億ドル(約8680億円)規模の宇宙プログラムの候補企業に選定され、初回契約として500万ドル(約7億8000万円)分を受注した。このプログラムの候補には、スペースXとブルーオリジンも含まれる。

Stoke Spaceは2025年、合計7億7000万ドル(約1194億円)を2つのラウンドで調達した。出資元にはビリオネアのトーマス・タルが率いるU.S.イノベーション・テクノロジー・ファンドやビル・ゲイツのブレークスルー・エナジーが含まれる。

5. Impulse Space(インパルス・スペース)

評価額:18億ドル(約2790億円。PitchBook推定)
累計調達額:5億2500万ドル(約814億円)
創業者:トーマス・ミューラー

元スペースXのCTOのトーマス・ミューラーが2021年に設立した宇宙機メーカー、Impulse Spaceは5月に3億ドル(約465億円)を調達してユニコーン入りした。カリフォルニア州レドンドビーチに拠点を置く同社の投資家には、リンス・キャピタルやエアバスベンチャーズ、ピーター・ティール率いるファウンダーズファンドが含まれる。同社の宇宙機は、衛星や宇宙貨物を異なる軌道間で移動させる技術を提供し、余分な軌道変更や再打ち上げを不要にできる点が特徴だ。

Impulse Spaceは2025年9月、自律型兵器を手がけるアンドゥリルとの提携を発表。来年に予定されている共同ミッションでは、「宇宙空間における軌道制御技術の高度化」を目指すとしている。

次ページ > 2025年ユニコーン入りした防衛関連のスタートアップ 6~10(評価額順)

翻訳=上田裕資

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