今年初め、ピーター・ディアマンディスのレポートでは、世界でヒト型ロボットに取り組んでいる企業が約100社あると指摘していた。それからほんの数か月後、今は中国だけで150社になっている。実際、ヒト型ロボットをめぐる熱狂は過熱する可能性があるとして、中国の経済計画機関がロボット業界に対し、「あまりに多くの企業がこの技術に取り組んでいる」と警告するほどになっている。今の中国では、ヒト型ロボットに取り組む企業が多すぎると、中国国家発展改革委員会(NDRC)の報道官であるリー・チャオは述べている。
奇妙に聞こえるかもしれないが、それはおそらく米国にとっては良いニュースだ。
「ヒト型ロボットを製造する企業の数を絞り込めば、重複する製品が減り、確かに効率は上がります」と李はいう。だが、アメリカの関心は、そのやり方が長期的に本当に効果的なのかどうかだ。
コンサルティング大手アリアントで現在ロボティクスおよび人工知能部門の会長を務める、元NASAロボティクス・AI部門トップの見方によれば、おそらくそうはならない。
「私が思うに、非常に効率的な独裁体制に勝てるものが1つあります」と、ロバート・アムブローズ博士は最近のTechFirstポッドキャストで私に語った。「それは少し散らかっていて、少しカオスで、しばしば一直線には進みません。しかしそれこそが、アメリカのイノベーションと起業家精神なのです」。
アムブローズによれば、ヒト型ロボットは今後10年、さらにはその先において、国家の競争力と地政学的なパワーにとって極めて重要だという。アムブローズが「初のドローン戦争」と呼ぶロシア・ウクライナ戦争は、軍事におけるロボットの重要性を示している。そこには空を飛ぶロボット(ドローン)だけでなく、地上や海上で運用されるロボットも含まれる。
しかし、ロボットは平時の成功にとっても不可欠である。
その理由を説明するため、アムブローズはタイムズスクエアで撮影された2枚の写真をとりあげる。1枚は1900年の復活祭の朝、もう1枚は1913年の復活祭の朝に撮影されたものだ。
自動車は他国で発明されたが、アメリカで普及し、20世紀を通じてアメリカの経済力と軍事力の柱の1つとなった。



