「原っぱにポツン」という駅も
さらに細かい話になるが、駅の場所や施設も問題だ。現在開通している13駅(距離にして約26キロメートル)のうち、パーキングが隣接している駅は4つだけだ。
もとはといえば、西側から東のダウンタウンやワイキキに向かう朝の通勤渋滞、逆方向の帰宅渋滞の解消に向けて進められたこの計画だけに、車で出かける人に電車を使わせるのがそもそもの目的。それなのに、駅にパーキングがなければ本末転倒な気がする。そもそも駅までは日本のように自転車で行ける距離感ではない。
また駅が建つ場所も、言ってみれば「原っぱにポツン」状態の駅もあり、駅周辺の開発が後手後手にまわっている。どの駅も近くの商業施設まではけっこう距離があり、日本人観光客に人気の「ワイケレ・プレミアム・アウトレット」はオアフ島西側の名所だが、最寄りの鉄道駅からはバスを乗り継がないと行けない。
西端の駅である「イースト・カポレイ」駅も、至近に会員制のコミュニティセンターがあるものの、閑散としたなかにポツンと建ち、夜は真っ暗。。もう少し足を延ばせば西側最大のショッピングモール「カ・マカナ・アリイ」があるのだから、せめてそこまで線路を延ばしてほしかった。
もっと言えば、西端の駅はアウラニ・ディズニーリゾートやフォーシーズンズホテルがある「コオリナ」にすべきだった。それならば、空港からコオリナまで鉄道で直行する宿泊客も多くいたし、コオリナにはゴルフ愛好者に人気のリゾートゴルフコースもある。どうしてもこの鉄道には「なぜ?」がつきまとうのである。
ホノルル市郡政府はだいぶ工事が進んでから、西武や東急など日本の鉄道会社に駅周辺の開発を相談(依頼?)しに行っていたそうだが、駅周辺の開発に関して後手後手にまわったと思われても仕方ない。
それと、「スカイライン」の駅には、基本トイレはない(正確にはもともとザ・バスの乗り換え拠点だった「ミドルストリート・トランジットセンター」と「ワイパフ・トランジットセンター」には駅のそばにトイレがある)。トイレを探すのに苦労することの多いハワイでは、これもまた期待はずれの1つである。
「スカイライン」は、日本のSuicaにあたる「ホロカード」を買えば、3ドルで乗車できる。オアフ島のほぼ全域を網羅するザ・バスの乗車にも共通で使えて、乗車から2時間30分以内ならザ・バスへの乗り換えは無料だ。まずは一度、ハワイで乗車してみてほしい。筆者のような愚痴をこぼすハワイ住民の気分を、少しは味わえるかもしれない。


