「古典的なバリュー投資」、引っ越し用車両貸し出しや貸倉庫サービスのU-Haul
Workdayが「誤解されたテック株」を象徴し、Ericssonが「割安な世界インフラ株」を象徴する存在だとすれば、ネバダ州リノに本拠を置くU-Haulは、グリーンにとって最も“古典的なバリュー投資”といえる銘柄だ。同社には、圧倒的な市場シェアと高いブランド認知、そして「一時的に押し下げられた業績」という三拍子がそろっている。
年商56億ドル(約8680億円)のU-Haulは「自分でやる引っ越し」の市場を独占し、世界2万4000以上の拠点を構えている。これはマクドナルドやスターバックスよりも多い数だ。同社の事業規模は、最大の競合Penskeの約10倍を誇っている。それにもかかわらずU-Haulの時価総額は90億ドル(約1.4兆円)で、2025年だけで株価は30%近く下落している。
グリーンが特に評価するのは、U-Haulが利益率が高く維持費のかからないセルフストレージ(貸し倉庫)事業に進出したことだ。「誰かが高速道路でU-Haulのトラックを運転すれば、周りの車は『あ、U-Haulだ』と気づく。それが無料の宣伝になる」とグリーンは語る。
利益を圧迫する3つの要因を投資機会と捉える
グリーンは、U-Haulの現在の業績を押し下げている3つの一時的な逆風に、投資機会を見いだしている。第1に、コロナ期の高値で購入したトラックの減価償却費が膨らんでいること。第2に、急拡大中のセルフストレージ事業が、満室になるまで数年かかるため赤字が先行していること。第3に、住宅ローン金利の高止まりによって国内の移動需要が一時的に低下していることだ。こうした要因を総合的に捉えれば、U-Haul株は、“通常水準”の利益の9倍未満で取引されており、「他に類を見ない規模を持つ企業がこの水準で買えるのは魅力的だ」とグリーンは指摘する。
AIブームを冷静に捉え、取り残された割安株を買い続ける
今後の見通しについて、グリーンのマクロ観は控えめだ。「期待すべきは、もっと穏やかで歴史的に見て普通のリターンだ。現在は2つの市場がある。活況のAI市場と、やや弱さが目立つより広い経済だ」と彼は語る。
AIそのものに対して、グリーンは懐疑論者でも盲信者でもない。「AIは間違いなく実体があり、ゲームチェンジャーだ」と言いつつも、「これほどの支出を正当化するだけの投資収益を、私はまだ確認していない」と話す。その一方で彼は、AIブームの陰で取り残された企業を買い続け、あとは市場全体が追いつくのを待つ構えだ。


