資産運用

2025.12.04 13:00

AI銘柄こそ避ける、米著名バリュー投資家が選んだ「3つの割安株」

Wachiwit / Getty Images

創業者のバリュー投資哲学を守り、独立を回復した歴史

このアプローチは、1980年創業というHotchkis & Wileyの文化と歴史を体現するものだ。創業者のジョン・ホッチキスとジョージ・ワイリーが掲げた「優良企業を割安で買い、長期的な利益を追う」という哲学は、現在も同社の基盤となっている。ロサンゼルスの資産運用大手Trust Company of the Westの共同創業者のホッチキスと、証券ブローカーで年金コンサルタント大手Callan Associatesの創業投資家のワイリーの2人は、厳格なバリュエーション基準、徹底したリサーチ、活発な議論によって、市場を長期的に上回れるという考えを土台に投資会社を築いた。

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メリルリンチは、1996年に同社を2億ドル(約310億円)で買収したが、運営に失敗し、最終的にはワイリーの娘ゲイル・バーディン(2004年に退任)を含む旧経営陣が買い戻した。ホッチキスの娘サラ・ケタラーは、このメリルの混乱期に退社し、2001年にバリュー投資を掲げるCauseway Capitalを共同創業し、今では670億ドル(約10.4兆円)の運用資産を抱える大手に育て上げた。

買収による混乱を乗り越え、資産規模を拡大

Hotchkis & Wileyのバリュー投資のDNAは、創業45年の今も変わっていない。全77人の従業員のうち約半数がリサーチ関連業務に携わっているが、この部門の採用は依然として狭き門だ。プルーデンシャルとゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て1997年に同社へ加わったグリーンは、2001年に、パートナーグループの一員として会社を買い戻し、非公開化した。その当時に約40億ドル(約6200億円)だったHotchkis & Wileyの運用資産は、現在350億ドル(約5.4兆円)にまで拡大している。

長期的な実績と、市場の変動を利用する規律ある運用

グリーンは、同社の「Small Cap Value」や「International Value」、2002年末に立ち上げられたHWAIXなどのファンドのマネジャーを務めている。なかでも最も高いパフォーマンスを上げてきたのは、企業規模を問わず投資先を柔軟に選べるHWAIXで、40〜70銘柄を組み込む“オールキャップ型”の戦略をとっている。

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設定以来の同ファンドの機関投資家向けシェアクラスは、年率12.5%のリターンを記録し、ベンチマークであるRussell 3000 Value Indexを約3ポイント上回ったほか、同期間のS&P500の年率9.6%も上回っている。同ファンドの投資家の多くは、Edward D. Jonesやシュワブなどの金融アドバイザーや証券会社を通じて流入しており、こうした販売チャネルでは販売手数料が免除される場合もある。

ボラティリティに積極的に向き合い売買

HWAIXでは、WorkdayやSLB Ltd.(旧称シュルンベルジェ)、F5、Havas NVなどを含む上位10銘柄が全資産の約45%を占めている。売買回転率は平均76%で、市場心理が崩れた局面では買い増し、バリュエーションがファンダメンタルズを上回れば持ち高を削るという、ボラティリティに積極的に向き合う投資姿勢を反映している。

ただし、2025年は厳しい展開となっている。HWAIXのリターンは、年初来で9.7%にとどまり、AIブームに後押しされたS&P500の15.3%に後れを取っている。それでもグリーンは動じていない。市場はやがて“狭い相場”から“より広がりのある相場”へ移り、その局面では規律を重んじるバリュー投資家こそが優位に立つことが多いと彼は主張する。

企業価値と利益の成長性を比較する、独自の指標を重視

グリーンはまず企業価値(EV)を売上高で割るEV/Salesで大まかな水準をつかむが、最も重視するのは、企業価値を利払い前・税引き前利益(EBIT)で割ったEV/EBITだ。そしてこの指標を見る際には、EBITが長期的にどこまで伸びるかという視点も欠かさない。「低い倍率でも、利益が縮小していれば意味がない。私たちが求めるのは、基礎となる事業が安定しているか改善している“割安な企業”だ」とグリーンは語る。

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翻訳=上田裕資

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