AI

2025.12.18 13:45

AIが映す「リアルとフェイクのあいだ」──信頼の時代に問われる日本の挑戦

カリフォルニア大学バークレー校教授のハニー・ファリード氏(提供:ハニー・ファリード氏)

「リアル」と「フェイク」の境界をどう描くか

AI時代の難しさは、他者のなりすましだけではない。自分自身がどこまで拡張され得るのか――その線を引くこと自体が曖昧になっている。

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たとえば、自分の仕事を効率化するために、自分のアバターを作る。AIは自分の声や思考を学び、代わりに会議へ参加し、文章を書き、判断を下す。やがてそのアバターは、本人よりも速く、的確に成果を上げ始める。では、その成果や評価は自分のものなのか?それともAIのものなのか?

さらに言えば、AIのアバターは他者の優れた思考や表現を参考にし、自分のアバターに取り入れるかもしれない。あるいは、他者が自分の要素を組み込んだアバターを作るかもしれない。

このとき、成果や影響は誰のものとして扱うべきだろうか。

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AIは人間の模倣装置であると同時に、他者と自己の境界を溶かす媒介でもある。「リアル」と「フェイク」は、もはや対立概念ではなく、互いに入り混じりながら価値を生む「共創の領域」に変わりつつある。

この新しい時代に求められるのは、技術を拒むことではなく、誠実に使うことだと考える。AIやアバターを用いて他者を取り入れたり、自分を拡張したりすること自体は悪ではない。問題は、どのような意図でそれを行い、どこまで透明に開示できるかである。

アバターが成果を出したなら、そのプロセスと仕組みを説明できること。他者を参照したなら、どのように影響を受けたかを明示できること。その誠実さこそが、拡張を「フェイク」ではなく「リアルの進化」に変える力になる。


おわりに──信頼を築く勇気

AIは、私たちの知性と倫理の鏡である。「リアル」と「フェイク」のあいだに線を引くのは、AIではなく人間自身だ。

他者の優れた点を学び、自分の限界を拡張すること。同時に、自分が誰であるかを社会に誠実に示し続けること。この二つを両立させる勇気こそが、AI時代の新しい信頼をつくる。

テクノロジーは問いを投げかける。

それにどう答えるかが、私たちの「リアル」を決めるのだ。

今回ご紹介したハニー・ファリード教授のインタビュー「Real or Fake(嘘か誠か)」の全文はBrunswick Reviewに掲載されている。また、日本語のホームページはブランズウィック・グループ 東京のWebサイトに掲載した。ぜひご一読いただきたい。

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