リーダーシップ

2025.12.08 13:00

経営陣の「仲良しごっこ」が企業を壊す、必要なのは調和でなく率直な姿勢である理由

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リーダー陣と長年仕事をしてきて筆者が気づいたのは、最もうまくいっているチームは完璧に調和しているのではなく健全に対立しているということだ。率直な議論や討論を行い、意見の相違があり、ありのままに言っている。いずれも見せかけではない。これは真のプレッシャーに耐える唯一の方法だ。

だからこそ、ギャラップの最新の調査結果は示唆に富んでいる。組織のリーダーシップに大きな信頼を寄せていると答えた従業員は、わずか18%だ。会社の将来に強い関心を持っていると答えた人は5人に1人もいない。リーダーが体裁と引き換えに誠実さを犠牲にすれば信頼は損なわれ、業績もそれに続く。

『チームの5つの機能不全』『The Motive』『理想のチームプレイヤー』の著者パトリック・レンシオーニとの最近の対話で、リーダーシップが「クール」から「堂々としている」へ、「報酬」から「説明責任」へと変わった理由を探った。そして組織の内部に目を向けた。その説明責任がなくなる時、経営陣内部で何が起きているのだろうか。

レンシオーニは躊躇することなく、「脆弱性の欠如だ」と言う。「それは始まりで、対立の欠如や偽りの調和、遅い決定など、さまざまなことが起きる」

『チームの5つの機能不全』が出版されて20年経った今も、この枠組みが通用するのは人間の本性が進化していないからだ。

経営トップにおける信頼の欠如

信頼の欠如が最も顕著に表れるのは経営陣だ。経営陣は最大の責任を負いながら、最も厳しい真実から目を背ける。職位が高いほど、まとう鎧は厚くなる。

この鎧が予測できる形態を取るのを筆者は目の当たりにしてきた。感情を察知されないように、金融用語のみで話す最高財務責任者(CFO)。プロセスの再設計によって、対立を隠す最高執行責任者(COO)。あらゆる意見の相違を、判断ではなくデータの問題として扱う最高戦略責任者(CSO)。どの防衛機制も、プロフェッショナルで洗練されている。そして、いずれもチームを機能不全に追い込む。

筆者は、完璧に足並みが揃っているように見えるリーダー陣と働いてきた。洗練されたスライドに共有された論点、表向きの相互尊重——。だが真の議論は、非公式なミーティングや廊下での内緒話で行われていた。決定は停滞し、進歩は棚上げされ、あらゆる議論は誰も口にしない問題に回帰した。

対照的に、あるチームは延々と話し合った。全員に発言権があり、あらゆるアイデアが歓迎され、会議は長引いた。民主的で健全にすら見えるが、それは何も前進していないことに気づくまでの話だ。対話はあっても方向性がない。このグループを変えたのは別のオフサイトミーティングではなく、明確な行動指針だった。

だが、自分たちの回避行動の真実と向き合うまで、行動指針は生まれなかった。指針自体は単純だった。5つの行動規範で、野心的なものではなかった。「決定を下した後ではなく、下す前に議論する」「駐車場ではなく、会議室で対立を明らかにする」など。重要なのは指針の文言そのものではなく、本来なら当然ルールがあるべきことにルールが必要だとようやく認めたことだ。

レンシオーニはリーダーシップの本質をこう記している。「健全な組織のリーダーは過ちを認め、助けを求め、フィードバックを受け入れられるだけの弱さを持たなければならない」

レンシオーニは率直に「CEOが安きに流れたり、権力やエゴを追求したりしているなら終わりだ。組織はそれ以上健全にはならない」とも語った。

レンシオーニがリーダーに繰り返し説くように、チームは機能不全へ流されるのではなく、自ら機能不全に陥るのだ。

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翻訳=溝口慈子

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