リーダーシップ

2025.12.02 13:23

止まらない変化の中でのリーダーシップ:10の実践的アプローチ

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Jason Richmond氏、Ideal Outcomes社の創業者兼チーフカルチャーオフィサー。著書『Culture Ignited: 5 Disciplines for Adaptive Leadership』。

正直に言うと、私は「トランスフォーメーション(変革)」という言葉が嫌いだ。あまりにも使い古されて意味が薄れてしまった企業用語の一つだ。どの企業も変革中だと主張するが、現実を見よう:もはやゴールラインはなく、変化は決して止まらない。

今日、ビジネスリーダーは変革をリードしているのではなく、絶え間ない動きの中でリードしている。彼らの仕事は変化を管理することではなく、変化の中で繁栄する組織を構築することだ。数字がそれを証明している。

PwCの第28回年次グローバルCEO調査によると、CEOの42%が自社を再創造しなければ今後10年以内に存続できなくなると考えている。しかし、米国の経営幹部の57%は意思決定が遅すぎるために機会を逃していることを認め、デロイトの2025年グローバル人的資本トレンド調査の回答者は、毎日の時間の41%を組織が生み出す価値に貢献しない業務に費やしていると報告している。AIを導入しても、CEOの56%は効率性の向上を実感しているが、それが利益に表れていると答えたのは3分の1にとどまる。

PwCのグローバル会長Mohamed Kande氏は完璧に要約している:「世界中のビジネスリーダーは来年に楽観的だが、価値の創造、提供、獲得方法を再発明する必要があることも認識している」。つまり、変化はもはや管理すべき段階ではなく、構築すべき筋肉なのだ。

すべてが動いている時にリードする10の方法

今日の環境では、変化は数年ごとに起こるものではなく、ビジネス生活の絶え間ない背景音だ。市場は変動する。AIが職務内容を書き換える。サプライチェーンは揺らぐ。顧客は戦略が追いつくよりも速く動く。

では、すべてが動いている時にどうリードすればよいのか? 速く動きながらも安定を保つための10の方法を紹介する。

1. 48時間以内に決断する。

株主への手紙の中で、アマゾンのジェフ・ベゾス氏はかつて述べた、「ほとんどの決断は、理想的には持っていたい情報の約70%程度で行うべきだろう。90%を待っていると、ほとんどの場合、おそらく遅すぎる…遅さはコストがかかる」。

スピードは新たな競争優位性だ。ルールを作ろう:重要な決断—採用、製品の方向転換、新規投資—は2日以内に行う。すべてのデータを手に入れることはめったにないが、完璧な明確さを待つことは、しばしば機会を逃すことを意味する。完璧さよりも勢いの方が重要だ。

2. 戦略を生き続けさせる。

静的な戦略は動的な世界では死ぬ。リーダーシップチームと毎月「もしも」セッションを開催しよう。もしも来四半期にAI規制が厳しくなったら? もしもサプライヤーが失敗したら? もしも新技術が顧客の期待を変えたら? この演習は戦略的な筋肉を柔軟に保ち、リスクが危機に変わる前に表面化させる。戦略はバインダーではなく、生きたプロセスだ。

3. 時間の10%を取り戻す。

人々の時間は最も価値のあるリソースだ。四半期ごとにその10%を取り戻すようチームに挑戦しよう。成果を生まない定例会議を削減する。定型的な報告を自動化する。価値を生まないワークフローを再評価する。従業員一人ひとりに毎週4時間を取り戻せれば、それは年間で一人当たり約1カ月の生産性回復になる。その時間は学習、イノベーション、クライアントワークに再投資できる。

4. AIはきらびやかさではなくスピードのために使う。

派手なデモは忘れよう。インパクトを重視しよう。AIを実際の成果を加速する場所に導入する:予測、オンボーディング、コンプライアンスチェック、カスタマーサポートなど。生み出された話題ではなく、節約された時間を追跡しよう。AIで勝利している企業は、それを広報活動ではなく、パフォーマンス倍増装置として扱っている。

5. 安全に実験する。

「安全な試行」の文化を構築しよう。低リスクのプロセス—経費承認、マーケティングコピー、社内FAQ—から始め、そこで自律型ツールをテストする。人間をループに入れておく。実験がうまくいったら、素早く拡大する。失敗したら、教訓を記録して前進する。学習の速度はリーダーシップの速度だ。

6. 四半期ごとにリソースを移動させる。

再配分は俊敏性の鼓動だ。四半期ごとに少なくとも人材や予算の15%を成長イニシアチブに向けて移動させよう。それはデータに精通したマーケターをAI製品設計に移動させたり、印刷キャンペーンからデジタルパイロットに予算をシフトさせたりすることかもしれない。人材を動かさなければ、立ち止まっているのと同じだ。絶え間ない再配分は組織の硬直化を防ぐ。

7. 「変化デスク」を作る。

小さな神経中枢と考えよう—HR、財務、オペレーション、テクノロジーから2〜3人—進行中のすべての変化を追跡する:方針変更、AI導入、再編成、新規採用など。彼らは短い週刊ダイジェストを発行する:「何が変わり、なぜ変わるのか」。この透明性は不安を軽減し、一体感を構築し、変化を噂ではなく共有体験にすることができる。

8. 肩書きではなくスキルに焦点を当てる。

流動的な環境では、職務記述書よりもスキルの方が重要だ。従来の役割ではなく、能力—データ分析、AIリテラシー、デザイン思考、交渉—を中心に学習パスを構築しよう。

9. リスクを収益レバーに変える。

回復力のあるリーダーはリスクを回避するだけでなく、それを収益化する。サプライチェーンの透明性、サイバーセキュリティ、倫理的AIをコンプライアンスコストではなく、顧客、パートナー、投資家を引きつける差別化要因として見よう。目的と利益は対立するものではなく、互いを強化するものだ。

10. 「なぜ」を伝える。

変化の時代には、沈黙が恐怖を生む。決断の背後にある目的を過剰に伝えよう—なぜ再編成するのか、なぜ自動化に投資するのか、なぜ優先事項を変更するのか。頻繁で誠実な更新は信頼を構築する。人々が意見を異にしても、明確さの下に結集することができる。エンゲージメントは暗闇の中で死ぬ。

最後に、今日のリーダーシップは行動の速さではなく、適応、学習、リードの速さにある。それは継続的な自己革新についてだ。私たちに必要なのはより多くの変革ではなく、「今」のスピードでリードできるリーダーだ。

forbes.com 原文

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