世界共通の弱点はスピーキング
今回の調査でAI評価を導入したことで、世界規模でも共通の課題が初めて明らかになった。世界の半数以上の国で、スピーキングが最も弱いスキルだったのだ。読解や聴解中心の教育では、実際に使える英語は身につかない。この構造は、日本に限らず世界共通の問題だった。
一方、上位を占めたオランダ、クロアチア、オーストリア、ドイツなどのヨーロッパ諸国では、理科や社会を英語で教える「CLIL教育」や、口頭試験を重視する実演型評価が広く導入されている。英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ環境が、高い英語運用力につながっている。
調査では、英語力が高い国ほど「人間開発指数」や「世界人材競争力指数」などの国際指標でも高い傾向が確認されており、英語力が社会の生産性や競争力と相関していることも示された。

AIが瞬時に翻訳してくれる時代に、なぜ英語を学ぶのか。今回の調査結果は、その答えの一端を示している。世界の半数以上の国でスピーキングが最も弱いという事実は、テクノロジーが発達しても、自分の言葉で考え、伝える力は機械に代替されないことを物語っている。
18〜25歳の若年層が最もスコアが低いのは、便利なツールに囲まれているからこそ、英語を使う必要性を実感する機会が減っているからかもしれない。しかし、ビジネスや研究の場で求められているのは、翻訳ツール越しのコミュニケーションではなく、自分の言葉で思考し、議論する力だ。AI時代だからこそ、今後は人間にしかできないコミュニケーションの価値がより問われていくのではないだろうか。
【調査概要】
調査名称: EF英語能力指数(EF English Proficiency Index)2025(第15回)
調査時期: 2024年1月〜12月
調査対象: 世界123の国と地域の成人約220万人
調査方法: オンライン英語テスト受験データを分析。2025年版よりAIによるスピーキング・ライティング評価を導入


