教育

2025.12.14 09:15

日本の英語力96位から動かず AI評価で可視化された「読めるが話せない」の正体

プレスリリースより

プレスリリースより

AIが翻訳し、リアルタイムで通訳する時代に、それでも英語を学ぶ意味はあるのか。

世界110カ国で教育・語学事業を展開する国際教育機関イー・エフ・エデュケーション・ファーストが発表した最新の英語能力調査は、テクノロジーの発達とは裏腹に、日本人の英語力が依然として低迷している実態を浮き彫りにした。

96位から抜け出せない日本

今回発表された「EF英語能力指数2025年版」で、日本は世界96位と前年と変わらず停滞。スコアは446点で、アジア平均の477点、世界平均の488点をいずれも下回った。マレーシア(24位/581点)やフィリピン(28位/569点)といった英語教育先進国との差は依然として大きい。

今回の調査で初めてAIによるスピーキング・ライティング評価が導入されたことで、4技能のバランスがより精緻に分析できるようになった。その結果浮き彫りになったのが、「読む・聞く」に比べて「話す・書く」のスコアが相対的に低いという日本特有の傾向だ。理解はできても、実際に使いこなせないという構造的な課題が、数値として明確に示された形だ。

関東と中国地方で40ポイントの格差

国内でも地域による英語力の差が顕著になっている。最高は関東の478点、最低は中国地方の436点で、その差は40ポイント超。都市部と地方では、英語に触れる機会や学習環境に大きな開きがあることがうかがえる。

さらに注目すべきは、18〜25歳の若年層のスコアが全世代で最も低かったという事実だ。学校教育やオンライン学習で英語に触れる機会が最も多いはずの世代が、なぜ最下位なのか。

調査を実施した分析チームは、デジタルネイティブ世代が字幕やテキストで理解する英語にとどまり、自分の言葉として話す・書く経験が相対的に少ない可能性を指摘している。AIツールや翻訳アプリの普及により、英語を使う必要性そのものが薄れているのかもしれない。

次ページ > 世界共通の弱点はスピーキング

文=池田美樹

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事