ネットフリックスのウェブサイトにあるヘルプページによれば、同社はモバイル端末から「大半の」テレビやストリーミング機器へのキャスト(画面転送)機能のサポートを削除した。これにより、同社のルールの取り締まりを強化するとともに、ユーザーをより高額な料金プランやテレビ向けネイティブアプリの利用へと押しやろうとしている。
ネットフリックスはキャスト機能を廃止し、ほとんどのユーザーについては、モバイル端末からではなく、テレビやTVストリーミング機器に付属しているリモコンを使ってネットフリックスにアクセスする必要があるとした。
ネットフリックスによると、グーグルのストリーミング機器である Chromecastの古いバージョンや、Google Castに対応したテレビでは、引き続きキャスト機能が利用可能である。
さらに、キャストに対応した機器を持っているユーザーであっても、キャストを利用するには広告なしプランに加入している必要がある。ネットフリックスの広告なしプランは月額17.99ドル(日本では1599円[税込])からとなっている。
これらの条件に当てはまらない場合、ネットフリックスアプリを搭載したスマートテレビや、Google TVまたは Androidを搭載したデバイスでは、コンテンツを視聴する前にログインが必要となる。
ネットフリックスはなぜキャスト機能のサポートをやめたのか
ネットフリックスはキャスト機能のサポートを廃止した理由を説明していない。しかし、大半のテレビでのキャスト機能を停止することは、「アカウントは同一世帯内で暮らす人々が共有するもの」と定めるネットフリックスの世帯ルールをユーザーに守らせるうえで有効である。キャスト機能の廃止は、異なる世帯間でのパスワード共有を取り締まるうえでもネットフリックスにとって有利に働く。
米国時間11月1日の東部標準時午後2時30分過ぎ時点で、ネットフリックスの株価は約0.9%高の108.54ドル(約1万6895円)となり、下落していた主要株価指数を概ね上回った。同社の株価は、直近6か月の取引で約10%下落しており、1月以降に記録した22%の上昇分が削られている。
今年1月にサブスクリプション料金を値上げしたネットフリックスは、ユーザー間のパスワード共有やコンテンツ共有を取り締まることで恩恵を受けてきた。同社は、パスワード共有を禁止するルールを実施して以来、数千万人規模の新規加入者を獲得している。2024年第4四半期だけでも、ネットフリックスは約1900万人の加入者を増やし、世界全体の加入者数は3億160万人に達した。
ネットフリックスは直近の四半期に113億ドル(約1.8兆円。1ドル=155円換算)の売上高を計上し、前年同期比で17.2%増となった。他のストリーミングサービスもパスワード共有禁止と値上げの動きに追随しており、Disney+(ディズニープラス)とHulu(フールー)は10月に月額料金を少なくとも2ドル(約311円)引き上げた。ディズニーの最新の決算報告書によると、Disney+の加入者数は最近1億3200万人に増加し、Huluの加入者数は1億9600万人に達したという。



