ヘルスケア

2025.12.02 12:30

米国のワクチン論争 子どもへの接種の重要性を小児科医が解説

Getty Images

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米フロリダ州で検討されている新たなワクチン方針について知り、筆者は衝撃を受けた。筆者は小児科医として、これまで多くの病気の子どもたちを診てきた。その多くは予防接種を受けておらず、予防できたはずの病気にかかっていた。

高熱が3日続いた生後5カ月の乳児が、取り乱した両親に連れられて救急外来に運ばれてきたことを覚えている。私たちは髄液検査(脊椎穿刺)を含む一連の検査を行い、髄膜炎や敗血症の有無を確認した。その乳児は予防接種を受けておらず、その後数日で私たちは肺炎球菌による髄膜炎と診断した。これはワクチンで予防可能な疾患だった。

また、生後1カ月の乳児が青ざめ、呼吸が止まりかけていたことも記憶している。当時10歳だったこの乳児の姉が予防接種を受けておらず、誤って百日咳を家に持ち帰ったことが原因だった。同疾患は感染力が非常に強く、乳児にとっては命にかかわる呼吸困難を引き起こすことがある。

父親が息子の呼吸を心配し、13カ月の幼児が発熱で救急外来に運ばれてきたこともある。幼児はよだれを垂らしており、呼吸から聞こえる不気味な音が即座に懸念を引き起こした。診断は喉頭蓋炎だった。声帯付近の感染症で、腫れと呼吸困難を引き起こす。この感染は、血液感染症や肺炎につながることもあるインフルエンザ菌が原因だった。1990年から乳幼児へのヒブワクチン接種が実施されていることにより、現在では乳幼児にこの症状が現れることはほとんどない。それ以来、インフルエンザ菌b型の年間症例数は99%減少した。

政策変更の影響

ワクチン接種義務を撤廃する政策変更の影響は、接種済みの子どもを含む全ての子どもたちを危険にさらすことになる。ワクチンは大多数が接種した時に最大の効果を発揮し、集団免疫によって地域社会全体を守る集団の盾となる。細菌やウイルスは感染する人が少なくなると、次第に拡散しなくなる。ワクチン接種が広範でなければ感染する宿主が増え、集団免疫が崩壊し、免疫のある人でも感染拡大に対して脆弱(ぜいじゃく)な状態に置かれることになる。

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翻訳・編集=安藤清香

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