日常生活にみられる「ベン・フランクリン効果」
ありがたいことに、ベン・フランクリン効果を実際に目の当たりにするのに、珍しい本や政治のライバルは必要ない。むしろ、暮らしの中で気づかないうちにすでに経験している可能性が高い。
1. 職場:同僚に支援の手を差し伸べ、突如としてその同僚とのやりとりがスムーズになった、ということはないだろうか。同僚の成功を応援している自分に気づきさえしたかもしれない。これは、他人を助けることで、自分がその人に気持ちを注いだのだと思うようになり、ひいてはその人の成功が自分の成功の延長線上にあると思えるようになるからだ。注目すべきことに、これは双方向に作用する。同僚にアドバイスを求めることで、その同僚はあなたとのつながりをより強く感じるようになる。メンターが積極的に指導を求める人に深い好意を抱くのはこのためで、 骨を折ることは感情的な関与を生む。
2. 友情と恋愛関係:コーヒーをいれてあげたり、家具の移動を手伝ってあげたりと、好意は親密な関係において愛情を強化することができる。これは、その行為自体に意味があるからではなく、私たちがその行為を自分の中で正当化するためだ。共有の努力(共同での育児、ホームプロジェクト、共同での問題解決など)が絆を強める理由もここにある。これは自分だけが努力することが憤りにつながる理由でもある。
3. 社会とネットワークの力学:人は必要とされたいため、役に立っていると感じることを楽しむ。そのため、頼みごとをすることはそれ自体が褒め言葉だ。役に立つ瞬間は、相手の判断を信頼していることを示す多くの方法の1つであり、つながりを生み出す。ベン・フランクリンのような人脈活用のベテランが、人間関係を築くために取り入ろうとするのではなく、小さくて意味のある頼みごとをするのはこのためだ。
ベン・フランクリン効果は、感情だけよりも行動がはるかに確実につながりを築けることを示唆している。つまり、相手との距離が縮まるのを待つのではなく、ちょっとした頼みごとをすることで求めている親密さを積極的に作り出すことができる。
これは恋愛関係や友人関係、家族の関係、そして古傷を癒すことにも影響を及ぼす。少し距離を感じている相手に小さな頼みごとをすることは、つながりを取り戻すための穏やかで効果的な方法となる。だが、逆もまた真なりだ。もしあなたが行動を起こさなければ、独りよがりは感情的な距離を生むだけだ。


