恋愛というレンズで見た時にどんな人が魅力的に映るか尋ねると、大抵の場合、温かさや寛大さ、柔軟性、そして多くの場合、協調性を備えていること、といった答えが聞かれる。だが実際は適切な「ノー」ほど尊敬を集め、望ましいものはない。
理論的には、この考え方は直感に反するように聞こえるかもしれない。結局のところ、私たちは愛する人に対して好意的で融和的、そしてさほど世話を焼かさないよう教えられることが多い。だが実際には、長期的な恋愛関係において「ノー」と言えない人は気持ちが参ってしまったり、過小評価されたり、一生懸命喜ばせようとしている相手から不思議なほど切り離されていると感じることが多い。加えて、「ノー」と言わないことによる自己放棄は時間とともに積み重なっていき、通常、予測不可能な感情の爆発を引き起こす。
一方、優しくはっきりと、そして敵意を抱くことなく「ノー」と言える人は冷静でいられる。そして、その冷静さこそがパートナーを惹きつける。
「ノー」と言う方が「イエス」と言うよりも魅力的であることが多い3つの心理的な理由を説明しよう。
1. 「ノー」は高い自己価値を示す
罪悪感やパニック、必要以上に説明しなければというプレッシャーを感じることなく「ノー」と言えることは、愛着が安定していることを伝える方法だ。専門誌『Brain Sciences』に掲載された研究のレビューによると、愛着スタイルが安定型の人はバランスよく自分を調節できる。そうした人の神経系と非言語的行動はたとえ境界線を主張するときでも落ち着いたままだ。
加えて、安定型の愛着スタイルを持つ人は自分の限界やニーズを把握し、自分を尊重する傾向がある。自分を捨てることなく、誰かを失望させる不快感に耐えることができる。こうした傾向は長期的なパートナーに求められる資質、つまり予測可能性と安全性を示すため、人は本能的にこのような情緒的安定に惹かれる。



