暗号資産市場は2025年にかけて力強い勢いを見せたものの、ここ数カ月間においてはその勢いを失っている。ビットコイン価格は、2024年の4万ドル(約624万円。1ドル=156円換算)強の安値から上昇し、10月に12万6000ドル(約2000万円)の史上最高値へとなんとか到達したものの、その後急落した。
そんな中、最も強気な暗号資産トレーダーたちは、12月にFRBに関する爆弾発表が行われ、それがビットコイン価格を押し上げると予想している。
暗号資産取引所のコインベースで以前アドバイザーを務めていたケビン・ハセットが、12月に次期FRB議長に指名される可能性が急浮上した。それを受け、ビットコインのようなリスク資産に対する強気な見方が増えている。
ハセットが最有力候補と報じたブルームバーグの記事を念頭に、財務長官のスコット・ベッセントは「大統領がクリスマス前に発表する可能性は非常に高いと思う」とCNBCに語った。「ただ、それがクリスマス休暇前なのか、年末なのかは(トランプの)判断だ。しかし、物事は非常に順調に進んでいる」。
予測プラットフォームのポリマーケット(Polymarket)によれば、ハセットがトランプからFRB議長に指名される確率は34%に跳ね上がり、「年内に発表なし」の確率は60%から44%へと低下した。
「もし大統領からFRB議長を務めてほしいと言われたなら、もちろんイエスと言わざるを得ない。自分は国に仕えたいし、大統領に仕えたいからだ」と、ハセットは先日FOXニュースに語った。
トランプの忠実な側近であり、1期目の政権でも彼と共に働いたハセットは、金利を大幅に引き下げるべきだというトランプの考えに同調しており、高金利が2025年にかけて景気減速のリスクをもたらすと警告している。
「ハセットはハト派と見なされており、金融政策のさらなる緩和を支持する可能性が高い」と、トレードネイションの上級市場アナリスト、デービッド・モリソンはEメールで述べた。
もしトランプがハセットをジェローム・パウエル議長の後任に指名した場合、米ドルに下押し圧力がかかる可能性が高い。金利引き下げの思惑が強まると米ドルは弱くなるからである。
FxProのチーフマーケットアナリストであるアレックス・クプツィケビッチは、「FRBの金融政策緩和への期待は、米ドルを押し下げる主要因となっており、ケビン・ハセットがFRB議長に任命される可能性も高まっている」とEメールで述べた。
ハセットはまた、国家経済会議の一部である暗号資産市場に関するワーキンググループで中心的役割を務める人物でもある。
同ワーキンググループは2025年、ビットコインと暗号資産をどのように規制すべきかについて、銀行業、トランプが計画するビットコイン準備金と暗号資産備蓄、ステーブルコイン、税制、違法資金などに関する言及を含む提言をまとめた、報告書を発表した。



