プライバシーとセキュリティについて最終的に選択するのは、自分自身
自分自身のプライバシーとセキュリティに責任を負うのは、あなた自身だ。グーグルではない。メタでもOpenAIでもない。アップルですらない。どのベンダーやプラットフォームが最も優れたアーキテクチャなのかや、どういった防御体制、プライバシーポリシーを備えているかを見極めて選ぶことはできる。しかし、最終的に選択するのはあなたなのだ。
グーグルは、プライバシーの観点からはしばしば「嫌われ者」として描かれる。だが、そのプラットフォームは支配的な地位にある。Chromeを見ればよい。アップルやマイクロソフトからのものを含め、ほぼ絶え間なくプライバシーに関する警告が発せられているにもかかわらず、そのインストールベースは揺るがない。この事実は、認識と行動のギャップを完璧に物語っている。トラッキングが行われるとき、ユーザーは「警告されていなかった」とは言えないはずだ。
Gmailについても事情は同じだ。グーグル自身が何度も、そしてつい最近も改めて確認しているように、あなたには1つの非常に具体的な選択を行う必要がある。同社のクラウドベースのサービスを利用するかどうかは、あなた自身の判断であり、あなたのオプトインである。たとえ一部のユーザーがデフォルト設定のまま自動的にオプトインさせられていたとしても、「設定をさっと確認し、2回ほどタップ/クリックするだけ」で容易に修正できる。
惰性や無関心のままではなく、理解し選択しよう
もしあなたが、Gemini──すなわち世界各地のデータセンターに並ぶ、電力をむさぼり食うグーグルの膨大なサーバー群──に、あなたの受信トレイをつぶさに読み込ませ、どれほどプライベートな内容であろうとあなたの私的なメールを解析させることを許可するのであれば、それでも構わない。そうすると自覚的に決めたのである限りは。
きちんと選択をせよ。惰性や無関心のまま、自分のプライバシーを犠牲にしてはならない。
そして、まさにこの点こそが、グーグル(そしてマイクロソフトやメタなど他の企業)が批判されるべきところである。プライバシーポリシーは混乱を極めている。自分のデータをクラウドサービスに開放することが実際に何を意味するのかを明確に理解しないまま、ユーザーがその設定を有効にできるような状態であってはならないはずだ。
その一方で、テック大手各社は、新たなAI機能と、この新たな“宇宙開発競争”ともいうべき状況を形作る、すき間なく展開されるマーケティングに、今後も数十億ドル(数千億円)を投じ続けるだろう。そうしている間にも、20億人のGmailユーザーと、その他すべてのプラットフォーム上の数十億人のユーザーは、薄氷の上へと夢遊病者のように歩み続けることになる。


