マーケティング

2025.12.01 14:00

Z世代が主導、AIが新たな「ワンストップ」ネットショッピング手法として台頭

Shutterstock.com

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今年のホリデーシーズンは小売業者にとって、AI(人工知能)が消費者の購買行動をどのように変えつつあるかを初めて目のあたりにする機会となる。この先、AIがグーグルのショッピング広告やアマゾンなどのEC(電子商取引)大手と競合する存在となる可能性は誰もが認めるところであり、そのトレンドはすでに始まっている。

小売業界専門の米調査会社First Insight(ファースト・インサイト)の新たな調査結果によれば、2025年のホリデーショッピングにAIツールを利用しようと考えている人は40%に上り、Z世代がその先頭に立っている。Z世代の4人中約3人が、商品探しから購入までの全ステップでAIを活用すると回答した。

「ワンストップショッピング」といわれる生成AIショッピングの急速な普及は、小売業界を大きく変革する「ゲームチェンジャー」となり得る。

この秋、AI業界をリードする米OpenAIは初の小売提携を発表した。米ECプラットフォームのEtsy(エッツィー)に、ChatGPT上でのワンストップショッピングを可能にする新機能「インスタント・チェックアウト」を導入したのだ。Etsyはユニークな手作り品やヴィンテージ品を扱い、9000万人以上の顧客を抱えている。さらに、100万超の加盟店を擁するカナダのECプラットフォーム、Shopify(ショッピファイ)にもインスタント・チェックアウト機能の導入を拡大する。

この提携の発表から間を置かず、米小売大手ウォルマートがOpenAIとの同様の提携を結んだことを明らかにした。ウォルマートの顧客がChatGPT上で直接購入を完了できる仕組みだ。ウォルマートは「AIファーストのショッピングにより、小売体験は反応型から能動型へと移行する。AIが学習し、計画し、予測することで、顧客自身が自覚する前にニーズを先取りする」と説明した。米小売大手ターゲットも先日、顧客がChatGPT内で買い物ができる独自のアプリを立ち上げた。

「AIファースト」は、グーグルなどの検索エンジンやアマゾンに代表される小売メディアネットワークを介した従来のECショッピング手法からの革命的な転換となる。現状、小売サイトへのトラフィックの大半は、買い物客がスポンサー付きの検索結果を見て、購入目的でクリックすることによるものだ。

しかし、ChatGPTのインスタント・チェックアウト機能を使えば、買い物客は「母のために緑色のセーターを買いたい」といったプロンプトを入力し、結果を見て支払いを済ませるだけで、品物を販売している小売サイトを一切閲覧することなく購入を完了できる。つまり、その時点で欲しいと気づいていなかった商品を小売サイトで発見する可能性は低下する。この欠点は、一部の販売業者を不安にさせるかもしれない。

OpenAIによれば、小売業者は購入成立時に少額の手数料を支払うが、ChatGPTへ質問することで表示されるおすすめ商品の結果は「自然検索に基づき、スポンサーは付いていない」という。

デジタルマーケティング調査会社eMarketer(イーマーケター)のアナリストであるザック・スタンバーは、「数億人のユーザー向けに決済機能を組み込むことで、ChatGPTは真のコマース拠点となり得る」「アマゾンやグーグルに対抗し、新たに大きな収益源を切り開く可能性がChatGPTにはある」と業界ニュースサイトCX Diveに語った。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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