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2025.12.04 17:30

なぜ人は最悪のシナリオを想像するのか? 不安や恐怖が「単なる感情ではない」4つの理由

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企業のプレスリリースを配信する米PR Newswireは、2025年10月初め、米国の18~28歳の93%は「ハロウィンを祝うための計画を立てており、仮装、菓子類の購入や住まいのデコレーションなどに平均622ドル(約9万7000円)を費やす予定だ」とする調査結果を掲載した。つまり、この年齢の若者たちの多くは、ハロウィンを「恐怖心や不安感をもたらすもの」ではなく、人との交流や娯楽の要素を持ったものと捉えている。

一方、たとえハロウィンとは無関係と考えられたとしても、恐怖心や不安感は、若者たちのメンタルヘルスに大きな影響を及ぼしている。2023年には学生支援団体のhonor Society Caresが「学生たちに恐怖心をもたらす13の要因」についての調査結果を公表しているほか、学生を対象としたメンタルヘルスの調査機関、Health Minds Studyは2025年、「中程度以上の不安障害の症状に悩む学生は、3割以上」だと報告している。

恐怖心や不安感に対処しようとするとき、重要なのは「それらが単純な感情ではない」ということを理解しておくことだ。そのためには次の4つのことが重要なポイントとなる。

1. 恐怖や不安には「根拠」がない

『USニューズ&ワールド・レポート』誌は2018年に公開した記事で、「恐怖心は安全と健康を守るための防御機能でもある」と説明している。不安感についても、それと同じことがいえる。

人間は将来の脅威を想像し、前もって計画を立てることができる数少ない種だ。そうした予測は、恐怖心や不安感が持つ防御機能でもある。だが、多くの場合そこには、「最悪の事態に直面するだろう」との思い込みが含まれる。そのため恐怖心や不安感は、未来に否定的なことが起きるという認知的仮定に関連した基本感情だと捉えられることになる。

また、主に慢性病や深刻な症状に悩む人を対象とした健康関連の情報を提供しているHealthCentral.comが2024年にウェブサイトに掲載した記事によると、「破局的思考」とは常に最悪のシナリオを想像し続けることであり、それは恐怖心や不安感をもたらす大きな要因だという。この記事はさらに、最悪のシナリオはほとんど現実にならないこと、破滅的思考がいかに非合理的なものであるかということを説明している。

自らの置かれた環境において、現実に存在するストレス要因に注意を払うのは健全なことだ。だが、恐怖心や不安感は私たちが感じるストレスとは「別のもの」だということに注意する必要がある。

2.「過度の警戒状態」につながる

恐怖心や不安感に「最悪の事態に陥る可能性」についての誤った予測が含まれているということは多くの場合、私たちを過度の警戒状態に置き、さらなる恐怖や不安を感じさせる。

オンラインで心理学や神経科学、人間関係やメンタルヘルスに関する情報を提供しているSimplyPsychology.orgが2025年に公開したレポートによると、「fight(闘争)、flight(逃走)、freeze(硬直)、fawn(追従)」の4つの反応は、実際の脅威と想像上の脅威のどちらに対しても自然に起こる身体的反応だ。

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編集=木内涼子

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