そうした反応は私たちを幸福にするためのものではなく、命を守るためのものだ。そして、この自らを守るための機能はときに、別の脅威にさらされる可能性に対して必要以上に敏感になる。そのため、一定の恐怖心や不安感を持つ人の多くは、物事に対しておびえ、心配するようになる。
例えば、試験で失敗する可能性について常にあれこれ考えている学生の多くは、落第することや同級生からばかにされること、将来職に就けないことについても心配している。
3.「愛着スタイル」と関連している
「闘争、逃走、硬直、追従」の4つの反応は通常、その人を取り巻く環境にある脅威と関連している。だが、恐怖心と不安感は、その人の愛着スタイルにも重大な影響を及ぼす要因だ。
SimplyPsychology.orgは2024年、ドイツの精神分析家カレン・ホーナイとホーナイが提唱した理論に関するレポートを発表した。ホーナイは他者に依存する、あるいは孤立する、または他者と対立する、といった一般的な傾向は基底不安(基本的不安)に基づくものだと指摘している。ホーナイの研究は大半が幼児期の経験に焦点を当てたものだが、他者との関わり方は考慮すべき重大な点であり、その人が恐怖心や不安感に苦しんでいる可能性を示唆するものにもなり得る。
4.「普遍的」である
メンタルヘルスとウェルネスの促進を支援する非営利団体、HelpGuide.orgは2024年、恐怖心や不安感が引き起こす身体的な反応は、社会的支援によって抑制することが可能だと報告している。人間は社会的存在であり、誰でも他者からの助けを得ることに対して否定的であるべきではないと述べている。
つまり、自分は何に対しても恐れを感じないという人は、誰にも共感できない人だということでもある。健康関連の情報を発信するVerywell Healthは2025年、すべての人が共通して恐怖を感じるのは、「未知のもの」だとするレポートを公表している。恐怖心をなくすことは人間としての経験を否定すること、感情を抑え込むことは弱さだということになる。つまり、深刻な問題を抱える人がメンタルヘルスの専門家の助けを求めることは、当然必要なことだといえる。
上述のとおり、恐怖心や不安感は適応するために必要な防御機能でもある。それらを感じ、単にそうした感情を持つ以上のことだと理解することは、私たちが自らの置かれた環境によりよく対処し、うまくやっていくことを助けてくれるだろう。


