7. エメラルドレイクの水面に映る光景(カナダ、ヨーホー国立公園)
雪と水面が織りなす、このひときわ印象的なモノクロの風景は、ヨーホー国立公園にあるエメラルドレイクに広がる光景で、中央にある真っ赤なコートを着た人の姿が絶妙なアクセントになっている。
このミニマルに見える光景とは裏腹に、水面の下には複雑な生態系が息づいている。
エメラルドレイクのような湖では、冬の最も寒い時期に、「逆列成層」と呼ばれる現象が発生する。この過程では、表面のやや温かい水の層(約4°C)の上に、より温度が低い氷(0°C)が浮かぶ状態になる。これにより、魚やプランクトンが氷の下で生息できる、安定した環境が生まれる。
8. クモヒトデの軌跡(英スコットランド、ラスケンタイアの砂浜)
砂の上に描かれた、抽象的にも見える跡は、クモヒトデ綱(Ophiuroidea)に属するクモヒトデが描いたものだ。クモヒトデはヒトデの近縁にあたり、ヒトデと同様に5本の腕を持つが、中央の盤から突き出した腕は、ヒトデよりもかなり長い。そのため、これらの腕を同調させた、船を漕ぐような動きが可能になっている。
学術誌『The Journal of Experimental Biology』に掲載された研究によると、クモヒトデは、メインの腕となる1本の腕で動きの方向性を決め、隣り合う2本の腕を使った「船を漕ぐ」ような動きで、体を前に進めているという。方向転換をする際には、別の腕をメインの腕として選ぶだけでいい。中枢にある脳ではなく、ネットワーク化された神経系によって、動きを再調整している。
クモヒトデは、このような神経系の仕組みにより、左右相称の形態や中央制御型の中枢を持たないにもかかわらず、迅速で連携した動きが可能になっている。
薄い砂の層で身を隠すクモヒトデは、重要な腐食性生物であり、海の底に存在する有機物を再利用するという、環境に対する主要な役割を担っている。


