おそらくあなたは、子どもを通わせるなら生徒数の少ない学校のほうがいいと考えるだろう。世界のほぼあらゆる場所で、親も政治家も、1クラスの人数は少ないほうがいいと無批判に信じている。
ここ数年でも、多くの国と地域が1クラスの人数を減らすことに向けて大きな一歩を踏み出した。代表的なところでは、アメリカ、イギリス、オランダ、カナダ、香港、シンガポール、韓国、中国などだ。カリフォルニア州知事が、1クラスの人数削減を州全体で実施すると発表すると、知事の支持率は3週間もしないうちに2倍になった。
カリフォルニア州の発表があってから1カ月以内で、他の20州の知事が同じような計画を発表した。そして1カ月半以内に、ホワイトハウスも独自の1クラスの人数削減案を発表した。
現在にいたるまで、アメリカ人の77パーセントが、教師の給料を増やすよりも、1クラスの人数を削減するほうが、税金の使い方として正しいと考えている。アメリカ人の77パーセントが同意する事柄がどんなに少ないか、あなたにはわかるだろうか?
クラスの少人数化
かつてのシェポーグ・バレー中学校は、1クラスの人数が25人にもなったことがある。現在はわずか15人ほどだ。それはつまり、シェポーグ・バレーの生徒は、以前よりも教師たちから細やかに目をかけてもらえるようになったということだ。一般的に、教師の目が行き届いたほうが、生徒の学習体験は向上するとされている。
ということは、最近の人数が少ないシェポーグ・バレーの生徒は、過密状態だった以前のシェポーグ・バレーの生徒より、成績がよくなっているはずだ。違うだろうか?
実際、この説の真偽を検証するとてもエレガントな方法が存在する。コネチカット州にはシェポーグのような学校がたくさんある。同州には小さな町がたくさんあり、それぞれの町に小規模の小学校がある。小さな町の小さな学校は、出生率と不動産価格の自然な変動の影響を受けやすい。それはつまり、ある年のある学年はほとんど無人でも、その翌年の同じ学年は多人数になる可能性があるということだ。
参考までに、別のコネチカット州の中学校における生徒数の変遷を見てみよう。例にあげたのは5年生の人数だ。
1993年 18人
1994年 11人
1995年 17人
1996年 14人
1997年 13人
1998年 16人
1999年 15人
2000年 21人
2001年 23人
2002年 10人
2003年 18人
2004年 21人
2005年 18人
2001年には23人の5年生がいた。しかしその翌年はわずか10人だ! 2001年から2002年の間に、生徒数以外に学校で変わったことは何もない。教師も同じ、校長も同じ、教科書も同じ。それに同じ町の同じ校舎だ。地元の経済も、地元の人口もほとんど変わっていない。唯一、変わったのは、5年生の人数だけだ。


