働き方

2025.12.04 10:15

「叱り方」部下を指導するリーダーがやってはいけないやり方

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また、部下を叱るときにも、注意していたことがあります。

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自尊心を傷つけない叱り方をする、ということです。

私がよくしていたのは、「あなたらしくない」というニュアンスで話をすることでした。大きな期待をしているあなただから、きっとできたはずなのに、どうしてなのか、と。

やっかいな問題のときには、「あなたでさえ」というニュアンスで指導しました。あなたでさえ、できなかったんだね、よほど大変な問題だったんだろうね、という言い方で話を導いていく。

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ただ、一所懸命やっていてのミスとは違うケースもあります。例えば、ずるいやり方をしようとしていたり、適当に物事を済ませようとしたり、何よりも本人に悪いことをしたという自覚がなかったりしたとき。そうした、人として間違った姿勢を取ったときには、大きな声で真正面から怒鳴りました(一年に一度あるかないかですが……)。

組織として絶対に許せないことに対しては、リーダーは声を荒らげても怒りを表すべきだと思います。そうでなければ、まわりに悪影響を与えてしまうからです。

何か指摘をするときは、まず褒めてから

何か指摘をするのも、リーダーの大切な仕事です。ただ、指摘というのが難しくて、怒られていると受け取る部下もいる。また、直接、指摘をするとヘソを曲げてしまうようなこともあります。

ですから、指摘をするときには、何かを肯定し、褒めた上で、「こうしてほしい」と言う伝え方を心がけていました。

褒めるのはあまり得意じゃない、という人もいるようですが、それは改めたほうがいいと思います。褒め過ぎて困ったことは、私は一度もありません。

とりわけ現場の人たちや立場の弱い人たちには、意識して大きく褒めるようにしていました。こまめに、小さなことでも、ありがとう、という声をかける。すごいね、と褒める。しかも、できるだけ、みんなの前で。そうすることで、褒めてもらえた、という自信が生まれます。

また、褒めることで「期待しているよ」という気持ちを伝えることもできるのです。

さらに、一人を褒めるということは、他の人たちを叱っている効果もあります。他の人たちができていないから、その人を褒めるのです。みんなを叱るより、一人を褒めたほうが雰囲気は良くなります。

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文=岩田松雄/株式会社リーダーシップコンサルティング代表取締役社長

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