働き方

2025.12.04 10:15

「叱り方」部下を指導するリーダーがやってはいけないやり方

Getty Images

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部下を叱るとき、自尊心を傷つけずに本質を伝えるにはどうすればいいか。スターバックス コーヒー ジャパンやザボディショップでCEOを務めた岩田松雄さんは、威圧的な叱り方では部下が萎縮し「裸の王様」になるリスクがあると警鐘を鳴らす。

一方で、期待を込めた叱り方は部下の成長を促すという。岩田さんが実践してきた具体的な手法とは? 51の考え方にまとめた『新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。


自尊心を傷つけない叱り方をする

ザボディショップの社長時代、こんなことがありました。ザボディショップは環境保護のポリシーから、シールを貼るだけの簡易包装をお客様にお願いしています。資源の節約に理解をいただけるお客様が多かったので、ビニール袋をお渡しすることもそれほど多くはありませんでした。

ところが、あるマネージャーの日誌に、「今月は出た袋の枚数が多い。コスト削減のために簡易包装をお願いしなければ」という記述があったのです。それを見たとき、これは違うと思いました。コスト削減のために簡易包装をしているのではなく、地球環境を守るというザボディショップの理念のためにやっていたからです。

ところがいつの間にか、もともとの理念を忘れてコスト削減のツールになってしまっていた。伝えること、理念を守り続けることの難しさを改めて痛感したのでした。

なぜ、これをやっているのか。本質的なことは繰り返し言わないと、こういうことが起こってしまうのです。

そしてここは、何のために簡易包装をお願いしているかを徹底しないといけないと思いました。ザボディショップの根幹に関わるような話だったからです。マネジメントレターに書くだけではダメだ、と。

このときは、全店を管轄していた営業責任者に、もう一度ザボディショップの原点に戻るように再教育を要請しました。その際、どのお店のマネージャーの日誌だったのかは、私は明らかにしませんでした。実際、名前もチェックしませんでした。それよりも、一人いれば、同じ発想をしていたスタッフが他にもいるだろうと危惧しました。

後で聞けば、クレームも入っていたというのです。雨の日に、袋を持たないお客様に簡易包装をお願いしてしまった、と。でも、雨の日では、袋がなければお客様も困ってしまう。それ以外でも、どう見ても袋が必要なお客様だっておられる。

これも、徹底が必要だと思いました。何が大切で何を優先しなければならないか、繰り返し繰り返し言い続けなければなりません。

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文=岩田松雄/株式会社リーダーシップコンサルティング代表取締役社長

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