ノーススターを指針にして導く
私は、短期と長期の目標を定期的に言語化すべきだと強く信じている。少なくとも月に1度はメモアプリを開き、自分が達成したいことを書き出す。それによって、忙しいだけの雑務というノイズをかき消し、本当に重要なこと──自分と自社にとって前進につながる仕事──に集中できるようになる。
アルトマンもまた、目標を常に意識の最前線に置いておくことの信奉者であるようだ。2016年のThe New Yorkerのプロフィール記事によれば、アルトマンは毎年目標リストを作り、数週間ごとにそれを見直している。そこには仕事に関する目標だけでなく、週に100マイル(約160キロ)の自転車走行といったフィジカルな目標も含まれている。
個人的な目標と仕事上の目標の両方を絶えず明確にし続けることは、自分のノーススター(北極星、揺るがない指針)を掲げて導くことにつながる。結局のところ、目標設定という規律は、生産性のためというより、むしろフォーカスのためにあるのだ。アルトマンがかつて指摘したように、「ほとんどの人はあまりに多くのことをやりすぎています。少数のことを執拗にやり抜くべき」なのだ。
競合に注意を払いすぎない
「市場で自分たちを打ち負かすようになるまで、競合のことは心配するな」。アルトマンはElucifyというスタートアップの創業者たちにそう語った。「競合とは、最後の方になってようやく夢に出てくる怪物のようなものだ」。
グーグルのような世界的な巨人と正面から渡り合わざるをえなかった企業のCEOとして、私はこのリーダーシップアドバイスに心から同意する。ライバルばかり見ていれば、本当に重要な仕事──ユーザーの声に注意深く耳を傾け、最高のプロダクトやサービスを作るという仕事──から注意がそれてしまう。
顧客と見込み顧客は、最も重要なステークホルダーだ。ソーシャルメディア上での声に耳を澄ませ、レビューを読み、フィードバックを求めるなどして、そのインプットを丹念に追うことが、彼らによりよく貢献することにつながる。競合の動きばかり見ていると、ユーザーがさほど求めていないものを慌てて作る羽目になりかねない。
要するに、目を向けるべきは競合ではなく顧客だということだ。
何より大切なのはレジリエンス
アルトマンのキャリアは、もう1つ、繰り返し語るに値することを思い出させてくれる。それは「簡単にはあきらめない」ということだ。彼はOpenAIを1度解任され、その数日以内に復帰した。状況がいかに急速に変わりうるかを示す劇的な例である。将来を完全な明瞭さをもって予測することはできない。他人が自分や自分のプロダクトにどう反応するかをコントロールすることもできない。結局のところ、成り行きを見守るしかないのだ。しかし、自分の信念にしっかりと根を下ろし、道中のでこぼこをレジリエンス(しなやかな回復力)をもって乗り越えることはできるのだ。


